質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第四一号

コロナ禍における雇用情勢への対応と賃金引上げ促進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年三月二十六日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   コロナ禍における雇用情勢への対応と賃金引上げ促進に関する質問主意書

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、雇用情勢にも深刻な影響をもたらしている。二〇二〇年の有効求人倍率は一・一八倍で、前年比マイナス〇・四二ポイントはオイルショックの影響を受けた一九七五年以来四十五年ぶりの大きさとなった。完全失業率についても二・八%となり、十一年ぶりに悪化した。また、新型コロナウイルス感染症等の影響を労使ともに大きく受けている中で行われている本年の春闘では、二〇一四年から継続してきた二%以上の賃上げ率の継続や、雇用の維持が焦点となっている。

 こうした雇用情勢への対応等について、以下質問する。

一 パート・アルバイトや派遣労働者など非正規雇用で働く方々にとって、新型コロナウイルス感染症等の影響により極めて厳しい状況が生じている。厚生労働省の調査によれば、三月十九日時点で新型コロナウイルス感染症に起因する解雇等が見込まれる労働者の累計は九万六千名を超え、そのうち非正規雇用労働者は四万五千名を超えている。

  緊急事態宣言等による自粛要請はいわば不可抗力であり、その影響で仕事に就くことができない人に対して、困窮に陥らないようにするために、政府が生活保障のための施策を行うことは当然のことであると考える。

  今後の雇用情勢の変化に応じて、特に厳しい立場に置かれやすい非正規雇用の方々を念頭に置いて、迅速な給付と雇用の確保のために必要な支援策を講じるべきと考えるが、政府の認識を伺う。

二 本年の春闘では、連合が前年並みのベースアップ二%、定期昇給含め四%程度を求める考え方を打ち出す一方で、経団連は業種横並びや各社一律の賃金引上げを検討することは現実的ではないとの認識を示していた。三月十七日の集中回答日の状況を見ると、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せず、妥結額が前年を下回る企業が多いとされ、二%の賃上げの実現には極めて厳しい状況にあるといえる。

  厳しい経済情勢の下で、現時点では企業による雇用継続の確保が極めて重要であることは、いうまでもない。ただ、併せて賃金水準の底上げを図ることは、厳しい生活環境にある労働者にとっても欠かせないものであるほか、今後、ポストコロナの景気回復のための対応として需要喚起策を実施するにしても、賃金が伸びなければ消費拡大の効果も限定的となり、政府の目指す経済回復路線への回帰にも影響を及ぼすことになるのではないか。コロナ禍の賃上げについての政府の認識を伺う。

  また、政府は、税制上の優遇措置などにより、企業の賃上げを促進する施策も講じている。経済環境が厳しい中ではあるが、企業が雇用を維持しつつ賃金等の労働条件の改善を図ることができるよう、さらに様々な施策を講じていく必要があると考えるが、政府の見解を伺う。

  右質問する。