第204回国会(常会)
質問第四〇号 東日本大震災の被災地における金融支援の継続・強化に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和三年三月二十六日 牧山 ひろえ
参議院議長 山東 昭子 殿 東日本大震災の被災地における金融支援の継続・強化に関する質問主意書 東日本大震災では、その規模や影響が及ぶ範囲が極めて広く、金融面においてもそれまでの自然災害以上に思い切った支援策が講じられた。その一つが、地震や津波により住宅や工場などを失った被災者が、従来の住宅等の費用に充てた債務の返済と、新たに再建する費用をまかなう債務の返済という二重の負担を迫られる問題、いわゆる「二重債務」又は「二重ローン」と呼ばれる問題への支援策である。 東日本大震災において講じられてきた二重債務問題への対応策は、被災者への周知や金融機関の協力などの面で様々な課題もあったが、自然災害による私有財産の被害を自己責任とする従来の考え方を超えて、国や地方公共団体により支援の手を差し伸べることができた点では、大きな意義があるものであった。 二重債務問題への対応策を始めとした被災地における金融支援の継続・強化について、以下質問する。 一 被災地において事業の再建を目指す中小企業者に対する支援は、その後の新たな自然災害や新型コロナウイルス感染症等の影響もあり、この先も長期的に続くことが見込まれている。特に、福島県では、原子力災害被災地域の復興自体が中長期的な課題となる中で、事業や生活の再建のための支援のニーズは復興のステージが進むにつれて引き続き継続するものと思われる。 現在、支援を継続中の中小企業者等に対しては引き続き実情に応じた柔軟な対応がなされることを求めるとともに、残された課題に対応する企業や個人への金融面での支援を必要に応じ行うことなどを検討すべきと考えるが、政府の認識を伺う。 二 地震のほか、台風や豪雪など、国内の自然災害は後を絶たない。こうした状況も踏まえ、二重債務問題に恒久的に対応できる制度についても検討が必要と考えるが、政府の認識を伺う。また、これまで講じられてきた二重債務問題への対応策の成果をどのように評価し、今後の自然災害時における支援にいかしていくのか、政府の認識を伺う。 三 被災地における円滑な資金供給の担い手となる地域金融機関の経営基盤を強化する観点から、二〇一一年六月に金融機能の強化のための特別措置に関する法律が改正され、金融機関への資本参加についての震災特例措置が二〇一七年三月末までの時限措置として設けられた。この震災特例措置により、総計で十二金融機関に二千百六十五億円の資本参加が行われた。 震災特例措置による資本参加を受けた金融機関の経営状況や、資本参加が被災地の金融の円滑化にもたらした効果について、政府の評価を伺う。併せて、資本参加を受けている金融機関が、今後の被災地の復興に果たすべき役割をどのように考えているか、政府の認識を伺う。 右質問する。 |