質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第三九号

オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年三月二十四日

伊藤 孝恵


       参議院議長 山東 昭子 殿



   オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリに関する質問主意書

 オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(以下「オリパラアプリ」という。)について、以下質問する。

一 本年三月二十日、東京オリンピック・パラリンピックの大会組織委員会、政府、東京都、IOC(国際オリンピック委員会)及びIPC(国際パラリンピック委員会)の五者協議で、海外からの観客の受け入れを断念することが決まった。東京五輪で来日する選手や関係者、観客などに利用してもらう想定のもとに開発してきたオリパラアプリは五輪開催中、何人の人が、どのように使用するのか、その際、外務省の査証システム(eVISA)をはじめ、厚生労働省や出入国在留管理庁、税関など、各省所管のシステムとどのように接続させるのか、その際の追加コストの有無も併せてそれぞれお示しいただきたい。

二 五輪終了後は、オリパラアプリをどのように使用するのか、また、その際の仕様変更の有無や開発に係る追加経費の有無について、それぞれお示しいただきたい。

三 オリパラアプリがどういった経緯で、誰の主導で開発されたのか、NTTコミュニケーションズ、日本ビジネスシステムズ、NECなどのコンソーシアムに委託することになった理由や、再委託関係も含めれば二十五社が下請け企業に連なっているが、政府としてどのようにマネジメントするかを、お示しいただきたい。

四 オリパラアプリの現在のプロジェクトマネージャーは誰なのか、チームの詳細をお示しいただきたい。

五 オリパラアプリの七十三・二億円の事業の内訳、アプリ開発には約十八億円、データ連携基盤約十四億円、顔認証サブシステム約五億円、医療機関向けサブシステム約五億円、サポートセンター構築約十七億円、多言語対応等約十五億円のうち、海外からの観客受け入れ断念に係る、コストリダクションの目途について示されたい。

六 本年三月十七日参議院予算委員会において、加藤官房長官は「(オリパラの)開催を契機に開発を進めておりますが、我が国を訪れる選手、スタッフ、関係者にも活用いただくことをまずは想定をしております。他方、必ずしもオリパラ向け用途に限定しているのではなく、日本に入国される方向けに、入国に係る様々な手続きを一つのシステムで一体的に管理することとしている」旨答弁しており、政府は当初より、オリパラアプリを長期的な水際対策にも利用しようとしていたと承知しているが、国際航空運送協会(IATA)の「トラベルパス」や、世界経済フォーラム(ダボス会議)と連携し、米ロックフェラー財団の支援を受ける非営利組織コモンズ・プロジェクトが開発している「コモンパス」等、世界標準の水際対策アプリはすでに実証実験段階にあり、オリパラアプリとの機能の重複を懸念する。この点について、見解をお示しいただきたい。

七 「エクセルシオールパス」は、ワクチン接種の有無や検査結果等を、ブロックチェーン技術を用いて証明する健康証明書アプリで、現在、米ニューヨーク州が試験運用中である。別名コロナパスポートとも呼ばれ、レストランやイベント、ライブ、映画館等に行く際、QRコードをスキャンすることによって入場資格を得られるという。新型コロナウイルス感染拡大防止と経済活動の両立に、テクノロジーの活用は不可欠であり、オリパラアプリをコロナ通行手形に仕様変更することが求められると思うが、見解をお示しいただきたい。

  右質問する。