質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第三八号

官僚の働き方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年三月十九日

伊藤 孝恵


       参議院議長 山東 昭子 殿



   官僚の働き方に関する質問主意書

 昨今の質問主意書や国会審議の答弁において明らかになっている、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室(以下「コロナ室」という。)や厚生労働省における過酷な勤務実態について、働き方改革にも反すると考え、以下質問する。

一 全ての府省庁(地方支分部局は含めない。以下同じ。)における、職員(一般職の職員の給与に関する法律の規定による超過勤務手当及び休日給の支給対象となる職員。以下同じ。)の、時間外在庁時間(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律に規定する正規の勤務時間以外に在庁した時間として、職員からの報告に基づき把握している時間。以下同じ。)と、超過勤務時間(一般職の職員の給与に関する法律の規定による超過勤務手当及び休日給が支給された時間。以下同じ。)について、全ての府省庁ごとに、平均の時間と最も多かった職員の時間を、直近三か月(昨年十二月~今年二月)の月毎にそれぞれお示しいただきたい。

二 全ての府省庁における、職員の超過勤務時間について、過労死ラインを超える月八十時間以上百時間未満であった職員の数は何人か。また、民間であれば特別な事情があったとしても労働基準法違反となる、月百時間以上であった職員の数は何人か。さらに、それぞれの人数について、府省庁の職員数に占める割合は何パーセントか。全ての府省庁ごとの数字を、直近三か月(昨年十二月~今年二月)の月毎にそれぞれお示しいただきたい。

三 前記一及び二で示された全府省庁の結果や、府省庁間における結果の差や偏りについて、政府の見解をお示しいただきたい。

四 国家公務員の働き方を本気で改善するためには、各府省庁が所掌する行政分野の重要性・緊急性や、真に対応が求められている業務量に応じて、府省庁の枠を超えた定員調整が行われる必要がある。
 この点、政府は、平成二十六年に「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」を閣議決定しており、この中で、「内閣人事局は、内閣の重要政策に対応した戦略的な定員配置を実現する観点から、府省の枠を超えて、大胆に定員の再配置を推進する。」としている。
 一方、同閣議決定において、「府省全体で、対基準年度末定員比で毎年二%(五年十%)以上を合理化することを基本とする。」ともしており、これに基づく内閣人事局長通知「令和二年度から令和六年度までの定員合理化目標数について」では、各府省庁の定員合理化目標をほぼ一律に、五年間で一割削減として、各府省庁に示している。
 さらに、同閣議決定において、「新規増員は、政府の新たな重要課題に適切に対処するため、政府全体の人的資源の戦略的な再配置を実現する観点から、特に必要が認められる場合に限ることとする。各府省は、既存業務の増大への対応に当たっては、自律的な組織内の再配置によることを原則とし、新規増員は厳に抑制する。」ともされている。

1 前述のとおり、同閣議決定において、「内閣人事局は、内閣の重要政策に対応した戦略的な定員配置を実現する観点から、府省の枠を超えて、大胆に定員の再配置を推進する。」とされているが、直近の「内閣の重要政策」をどう捉え、どのように「大胆な定員の再配置」を行っているのか、具体的にお示しいただきたい。

2 昨今、質問主意書や国会審議の答弁において、コロナ室や厚生労働省における過酷な勤務実態が明らかになっているが、こうした現状の勤務実態を踏まえ、内閣人事局は、「大胆な定員の再配置」によって、現在、府省庁間の超過勤務実態の偏りが十分に是正され、「国の行政が適切に運営される」人員配置になっていると考えているのか、政府の見解をお示しいただきたい。

3 前述の過酷な勤務実態を踏まえれば、各府省庁における勤務時間短縮の努力だけでは限界があり、府省庁間の超過勤務実態の偏りの是正のためには政府全体で、早急に具体的な改善策を講じる必要がある。

(1) 前述のとおり、同閣議決定において、「新規増員は、・・・特に必要が認められる場合に限ることとする。各府省は、既存業務の増大への対応に当たっては、自律的な組織内の再配置によることを原則とし、新規増員は厳に抑制する。」とされていることや、同内閣人事局長通知において、各府省庁の定員合理化目標がほぼ一律に、五年間で一割削減とされていることが、過酷な勤務実態にある省庁が業務量に見合った定員に増員し、人員配置を是正することができず、各府省庁間で超過勤務時間の偏りが起きている原因の一つだと考える。このようなルールは、まさに人員配置における行政の縦割りそのものであると考えるが、行政の縦割り打破を掲げている菅内閣としての見解をお示しいただきたい。

(2) 国民の税金が国家公務員の人件費に充てられることを踏まえれば、国家公務員の人件費は効率的に、かつ、重要施策に重点的に活用されるべきであり、この観点から政府全体として超過勤務時間を削減し、特に、賃金割増率の高い深夜残業や休日労働は徹底的に削減すべきである。前述の過酷な勤務実態を踏まえれば、そのような過酷な勤務実態にある省庁においては、前記四の3の(1)で挙げたようなルールを杓子定規的に当てはめるべきではないと考えるが、政府の見解をお示しいただきたい。また、政府として、こうした考え方に基づき、同閣議決定及び同内閣人事局長通知を見直す考えはあるか、お示しいただきたい。

(3) 前述の過酷な勤務実態は一刻も早く是正する必要がある。同閣議決定及び同内閣人事局長通知の見直しに時間を要するのであれば、緊急的に、府省庁間で超過勤務時間の偏りが起きないように、府省庁間の人員配置の偏りを是正する対策をとる必要があると考えるが、政府の見解をお示しいただきたい。

(4) 特に、昨今の質問主意書や国会審議の答弁で明らかになっている、コロナ室や厚生労働省における過酷な勤務実態については、職員の健康を守り、職員の家族にも安心していただけるよう、また、国民にとって重要対策が円滑に進むよう、一刻も早く是正する必要があるが、政府は、いつどのような対策を講じるのか、人員配置の是正も含めて具体的にお示しいただきたい。

  右質問する。