質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第三〇号

プラスチック製買物袋有料化義務付けが法改正でなく省令改正でなされたことに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年三月五日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   プラスチック製買物袋有料化義務付けが法改正でなく省令改正でなされたことに関する質問主意書

 プラスチック製買物袋有料化の義務付けは平成十八年六月に改正された容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(以下「容器包装リサイクル法」という。)第七条の四第一項の委任に基づき、同年十二月一日に定められた小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令(以下「省令」という。)によるものである。
 容器包装リサイクル法を審議した第百六十四回国会の衆議院環境委員会の質疑においては、当時は有償提供の義務化を明確に否定されており、事業者の自主的な取組を促すに留まっている。また、令和元年六月三日に行われた原田環境大臣の記者会見での質疑を見ると、当時は有償提供の義務化にむけては「最終的には法令を新たに作らなければいけない」との発言がある。
 また、法律の行政立法への委任の範囲をめぐる判例としては、平成十八年六月に成立した薬事法改正案を受けた平成二十一年六月施行の厚生労働省令に関する「平成二十四(行ヒ)二百七十九医薬品ネット販売の権利確認等請求事件」がある。判例を見ると、最高裁が支持した東京高裁判決でも法案可決後になされた審議会や国会での議論は考慮されていない。これは法律が成立した後に、国民の意見聴取や国会で具体的な討論が行われようとも立法段階での不備は補正しえないという当然の法理を示しており、令和元年の第二百回国会において行われたプラスチック製買物袋有料化の義務付けに関する議論が法律の委任する範囲に影響を与えないということである。
 以上を踏まえて、「法律が委任する範囲」について以下質問する。

一 容器包装リサイクル法について、平成十八年の改正後、平成二十三年六月と八月に他の法改正に伴う附則等の改正が行われているが、同法附則等の改正案の審議においてプラスチック製買物袋有料化の義務付けに関する議論は行われたか伺う。

二 省令の根拠となる容器包装リサイクル法の条文は、単に「事業者の判断の基準となるべき事項を定め」ることを政令に委任するものに過ぎず、義務化という事業者の判断の余地がない事まで定めることを委任するものではないと考えるが、政府の見解如何。また、義務化を定めることまで委任すると判断したのであれば、その根拠についても併せて示されたい。

三 令和元年六月三日の記者会見において、原田環境大臣は「最終的には法令を新たに作らなければいけない」と発言している。これは、プラスチック製買物袋の有料化の義務付けにおいては新法の制定又は法改正が必要であると認識していたと類推されるが、今回のプラスチック製買物袋の有料化の義務付けの検討時に、何故、新法の制定もしくは法改正ではなく、省令の改正で義務付けを定めることができると判断したのか、その根拠を示されたい。
 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。