質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第二三号

ナース・プラクティショナー制度の導入に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年二月二十四日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   ナース・プラクティショナー制度の導入に関する質問主意書

 ナース・プラクティショナーとは、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行うことができる看護の資格のことで、アメリカ等の諸外国で制度として導入されている。日本においては、二〇一五年十月一日より「特定行為に係る看護師の研修制度」を開始したが、この研修によって看護師が独自に診療を行える訳ではないため、諸外国で導入されているナース・プラクティショナー制度とは異なる制度である。
 日本国内において医行為に関する規定は医師法第十七条にあると承知している。医師法第十七条は「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と規定し、医師でない者の医行為を禁止している。診断、手術、処方といった医行為については、高度な医学的知識、経験、技術を有する医師自身が行うのでなければ、「健康危害」を生ずるおそれがあり、医師の具体的指示があったとしても看護師がこれを行うことは許されないとされている。このような規制に関しては医師法第十七条が定められた当時には一定の合理性があったものと考える。
 一方で、少子高齢化や地域の医療ニーズの変化、また昨今の新型コロナウイルス感染症への対応等により、医師へ過度な負担や医療崩壊へのリスクの懸念が生じつつある。多くの国民が安心して医療を受けられるような社会を維持していくためには、法令等を時代に合わせて適時適切に見直していく必要があると考える。
 以上を踏まえ、以下質問する。

一 前述の背景を踏まえ、政府はナース・プラクティショナー制度の導入に向けた調査をすべきと考えるが、現時点で政府においてナース・プラクティショナー制度の調査をする予定はあるか。あるいはすでに行っている調査があればその概要を伺いたい。

二 新型コロナウイルス感染症の影響で医療現場の逼迫、特に医師が不足している現状に鑑みると、日本でもナース・プラクティショナー制度の導入を検討すべきと考えるが、政府の見解如何。
 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。