質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第一三号

新型インフルエンザ等対策特別措置法関係政令に係る行政手続法の意見公募手続(パブコメ)の取扱いの整合性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年二月十六日

小沼 巧


       参議院議長 山東 昭子 殿



   新型インフルエンザ等対策特別措置法関係政令に係る行政手続法の意見公募手続(パブコメ)の取扱いの整合性に関する質問主意書

 新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律(令和三年法律第五号。以下「改正法」という。)に関しては、要請等に応じない事業者に対する罰則規定の導入等、重要な改正事項が含まれるにもかかわらず、関係政令に係るパブリック・コメント(以下「パブコメ」という。)手続は拙速ともいえるものであり、行政手続法(平成五年法律第八十八号)との整合性等について疑問が残るため、以下の点について質問する。

一 政府は、改正法の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案に対するパブコメを令和三年二月四日に公示するとともに、意見提出の締切りを同月七日に設定した。行政手続法第三十九条第三項は、意見提出期間は公示の日から起算して三十日以上でなければならないとし、同法第四十条ではその特例が定められており、当該意見公募では同条第一項に基づく理由が示されていたものの、罰則等、国民の権利を制約するものに関係するものである以上、本来であれば十分な意見提出期間を確保すべきであったと考えるが、このことと、同項の「三十日以上の意見提出期間を定めることができないやむを得ない理由がある」との関係について政府はどのように考えているのか、具体的に説明されたい。また、過去に罰則規定に関連する政令案に対するパブコメについて、意見提出期間を数日間という短期間で実施した例があれば、その事例も併せて示されたい。

二 新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号。以下「特措法」という。)制定時の同法施行令案に係るパブコメについては、平成二十五年二月十八日に案が公示され、意見提出の締切りは同年三月十九日に設定されており、三十日以上の意見提出期間が確保されている。これに対し、今回、意見提出期間を四日間に設定した理由は何か。また、特措法制定時よりも大幅に意見提出期間を短縮したことに対する妥当性について、政府はどのように考えているのか。

三 今回の政令案に係るパブコメでは、郵送提出についても締切日必着となっており、遠方から郵送で意見を提出する場合、四日間では実質的に政令案の是非を検討する時間はほとんどなかったものと思われる。意見提出期間をこれほど短期間に設定したことについて、事前に、広く一般から意見を募ることにより行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てるというパブコメの趣旨にそぐわないものと考えるが、こうしたパブコメの趣旨と今回の取扱いとの整合性をどのように考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。

四 改正法で新設された「まん延防止等重点措置」については、当該措置を実施する必要がある事態が発生した旨公示する主体は国であるが、公示後、まん延防止のために必要な具体的措置を行う主体は都道府県知事であると理解しているが、間違いないか。そうであれば、当該措置の具体的内容に係る部分は別途政令案を立案し、それに係る意見提出期間を十分に確保するということもあったのではないか。また、当該措置は、都道府県知事の事業者や住民に対する要請によって行使されるものであることから、地方自治体やその住民からの意見も広く募集するためにも、「まん延防止等重点措置」に係る規定の意見提出の締切りをこれほど急ぐ必要性はなかったのではないか。政府の見解を明らかにされたい。

五 政府は、特措法の適用対象とする期間を延長するための政令案について、当初、令和二年十二月十七日から令和三年一月十五日までを意見提出期間としてパブコメを開始したにもかかわらず、受付期間中に意見公募を中止し、令和三年一月七日に政令を公布した。一方、同じく同年一月七日に公布された、特措法の規定による緊急事態措置に係る休業要請等を行うことが特に必要な施設として飲食店等を追加するための政令については、そもそもパブコメ自体を実施していない。いずれも行政手続法第三十九条を根拠とする意見公募手続にのっとるべきものであるにもかかわらず、運用面で違いを設けたことに対する整合性をどのように考えているのか。また、これらの扱いの理由について、政府は、いずれも、行政手続法第三十九条第四項第一号を挙げているが、これらの扱いと当該規定(公益上、緊急に命令等を定める必要があるため、意見公募手続を実施することが困難であるとき)との関係について、それぞれ具体的に説明されたい。

六 前記一、二及び五に示したように、特措法関係政令のパブコメの実施の有無や意見提出期間の設定、また、その根拠について、それぞれ異なる取扱いをしているが、この取扱いの違いについて、政府はどのように整理しているのか、具体的に説明されたい。

  右質問する。