質問主意書

第204回国会(常会)

質問主意書


質問第四号

健康被害発生の可能性がある二酸化塩素を利用した空間除菌を標ぼうする空調装置に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和三年一月十九日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   健康被害発生の可能性がある二酸化塩素を利用した空間除菌を標ぼうする空調装置に関する質問主意書

 令和三年一月十六日付の日本経済新聞の報道(以下「本報道」という。)によると、ヤンマーホールディングスは小中学校の体育館などに簡易な工事で空調や電力を供給するシステムを開発し二〇二一年度に商用化するようであるが、その機能の中に、新型コロナウイルス等の感染症対策と称して大幸薬品の空間除菌剤「クレベリン」を空気に混ぜる機能を加えている。
 この「クレベリン」とは二酸化塩素を利用したものであり、仮に空間除菌できるほどの濃度の二酸化塩素を空間に満たせば、その空間に入った者の眼や呼吸器系の粘膜を刺激して、咳嗽や喘息などの原因となる危険性がある。
 また、消費者庁は平成二十六年三月二十七日、大幸薬品の「置く、掛けるで使える!自分だけの空間に浮遊するウイルス・菌を除去!」と表示された「クレベリン」関連の商品に対し、不当景品類及び不当表示防止法に定める優良誤認表示に該当する広告表記であるとして措置命令を下している。
 右を踏まえて、以下質問する。

一 そもそも、二酸化塩素を空間に噴霧することは、新型コロナウイルス感染症対策として推奨されているか。政府の見解如何。

二 首から下げるだけの空間除菌グッズの場合、放出される二酸化塩素が微量であるため、消費者の健康そのものへの影響は少なく、もっぱら表示されているウイルス除去効果がないことだけが問題であったが、空調装置を通じて大規模に二酸化塩素をばらまくとなれば、いよいよもって人体への健康被害を心配しなければならない。政府は、速やかに地方自治法第二百四十五条の四第一項等の規定に基づき各地方自治体に技術的助言を行う等して、二酸化塩素を空間に噴霧する空調装置を、学校を含む公共空間に導入しないよう呼びかける等する必要があると思うが、政府の見解如何。

三 本報道は日本経済新聞によるものであるが、日本経済新聞は本報道に対しまったくの無批判で報道しており、報道機関が空間除菌グッズに対し、科学的リテラシーを持って報道しているかどうか疑問が残る。政府は、令和二年六月五日付消費者庁発表「新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品等の表示に関する改善要請等及び一般消費者等への注意喚起について(第三報)」等で、SNSを通じて一般消費者等への注意喚起を行っているが、報道機関に対しても注意喚起を行うべきではないか。政府の見解如何。
 なお、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から三十日以内には答弁されたい。

  右質問する。