質問主意書

第203回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇三第三九号
  令和二年十二月十五日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員小西洋之君提出憲法第十五条と国家公務員の任命行為の有無及びその裁量権の有無に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出憲法第十五条と国家公務員の任命行為の有無及びその裁量権の有無に関する質問に対する答弁書

一について

 憲法第十五条第一項は、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と規定しているところ、同項にいう「国民固有の権利」とは、個々の公務員についての直接の選定罷免権を国民が有することを表すものではなく、同項の規定は、公務員の終局的任免権が国民に帰属することを明らかにし、公務員の任免を民主的統制に置くことを求める趣旨であると解されている。

二、三及び五について

 お尋ねについては、個別具体的な制度の内容によるため、一概にお答えすることは困難である。

四について

 御指摘の答弁については、昭和四十四年三月三十一日の参議院予算委員会における、高辻内閣法制局長官(当時)による「国立大学の場合に、国会の信任にその存立の基礎を有する内閣の指揮監督のもとに立つ文部大臣が、学長等の任命につきまして、およそいかなる場合においても、発言権を有しないと解しますことは、憲法十五条一項に明らかにされておりますところの、公務員の終局的任命権が国民にあるという国民主権の原理を否定することになってしまいはしないか」との答弁等で示されている考え方と軌を一にするものであり、日本学術会議法(昭和二十三年法律第百二十一号)第七条第二項の規定の解釈として、同項の規定により日本学術会議会員(以下「会員」という。)を任命する権限を与えられた内閣総理大臣による具体的な任命権の行使について、国民に対し責任を負い得ない場合であっても同法第十七条の規定による推薦のとおり会員に任命しなければならないと考えることは、憲法第十五条第一項の規定との関係で問題が生ずるとの認識を示したものである。