質問主意書

第203回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇三第一二号
  令和二年十一月二十日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員鈴木宗男君提出菅義偉内閣総理大臣が「日本学術会議」が推薦した会員候補百五名のうち、六名の任命を見送ったことに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員鈴木宗男君提出菅義偉内閣総理大臣が「日本学術会議」が推薦した会員候補百五名のうち、六名の任命を見送ったことに関する質問に対する答弁書

一について

 日本学術会議における令和二年度予算の内訳は、政府・社会等に対する提言等に要する経費が約二億九千万円、各国アカデミーとの交流等の国際的な活動に要する経費が約二億円、科学者間ネットワークの構築に要する経費が約千万円、科学の役割についての普及・啓発に要する経費が約千万円、人件費が約四億三千万円、事務費等が約一億二千万円である。

二について

 日本学術会議会員(以下「会員」という。)は、日本学術会議法(昭和二十三年法律第百二十一号。以下「法」という。)第七条第一項の規定に基づき日本学術会議を構成し、法第三条に規定する職務を行う官職であり、また、日本学術会議連携会員(以下「連携会員」という。)は、法第十五条の規定に基づき、会員と連携し、法第三条に規定する職務の一部を行う官職であり、これらの官職にある者の数は、令和二年十月一日現在で、それぞれ二百四名及び千九百一名である。

三について

 日本学術会議に置かれる事務局に所属する職員は、事務局長一名、次長一名、課長等五名、課長補佐及び係長等四十三名であり、事務局長は、会長及び副会長の職務を助け、日本学術会議の運営に参画し、事務局の事務を統理し、次長は、事務局長を助け、事務局の所掌事務に係る重要事項に関する事務を総括整理し、課長等は、事務局の所掌事務に関する総合調整に関すること、会員、連携会員及び委員会委員の人事に関すること、科学に関する重要事項の審議に関すること、国際会議の開催、国際学術交流等国際業務に関すること等の事務をそれぞれつかさどり、課長補佐及び係長等は、各課長等がそれぞれつかさどる事務に従事している。

四について

 日本学術会議は、科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること及び科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させることを職務として行っており、例えば、令和元年十月から令和二年九月までの間に発出した提言は七十一件、報告は十五件である。

五について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、日本学術会議は、内閣府に置かれる内閣総理大臣が所轄する特別の機関であり、法第三条の規定に基づき、独立してその職務を行うこととされており、会員は、法第七条第二項の規定に基づき、日本学術会議からの推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命することとされている。

六について

 日本学術会議は、法第十七条の規定に基づき、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考して内閣総理大臣に推薦するものとされているところ、会員の候補者の選考については、日本学術会議会則(平成十七年日本学術会議規則第三号)第八条の規定に基づき、会員及び連携会員が候補者を推薦し、日本学術会議に置かれる選考委員会が候補者の名簿を作成して法第十四条に規定する幹事会に提出し、幹事会が法第二十三条第一項に規定する総会の承認を得て、候補者を内閣総理大臣に推薦することを会長に求めるものとされており、今般の会員の任命に係る推薦に当たっても、このような手続を経たものである。

七について

 お尋ねの「日本学術会議が・・・至るまで」、「一連の手続き」及び「関わった者」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本学術会議が会員の候補者を内閣総理大臣に推薦するまでの手続については、六についてでお答えしたとおりであり、今般の会員の任命に係る推薦に当たっては、当時の山極会長(以下「前会長」という。)を始め、会員及び連携会員が、当該手続におけるそれぞれの役割を果たしたものと承知している。内閣府日本学術会議事務局管理課総務係が当該推薦に係る決裁文書を起案し、前会長が決裁することにより処理しているところ、その過程においては、酒井管理課長、後藤企画課長及び福井事務局長の決裁を経ている。また、日本学術会議からの推薦に基づいて、今般の会員の任命を行うに当たっての事務手続については、内閣府大臣官房人事課において矢作大臣官房参事官が当該任命に係る決裁文書を起案し、菅内閣総理大臣が決裁することにより処理しているところ、その過程においては、吉岡人事課長、大塚大臣官房長、山﨑事務次官及び加藤内閣官房長官の決裁を経ている。

八から十までについて

 御指摘の記事については承知しているが、個別の報道の内容に関するお尋ね及び個別の報道の内容を前提とするお尋ねであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。

十一及び十三から十五までについて

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、会員は、法第七条第二項の規定に基づき、法第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命することとされているところ、この任命は、憲法第十五条第一項において公務員の選定が国民固有の権利であるとされていることからすれば、当該推薦を十分に尊重すべきことを前提としつつも、必ず当該推薦のとおりに任命しなければならないわけではないと考えている。今般の会員の任命についても、任命権者である内閣総理大臣が適切に判断して特別職の国家公務員として任命したものであり、また、このことが「学問の自由の侵害」等に当たるとは考えていない。

十二について

 法令において、「基づいて任命する」と規定されていても、各法令によって、任命を行う者の権能及び責任が異なっており、御指摘の内閣総理大臣の任命については、国政に関する権能を有しない天皇が実質的決定権を持たないことは憲法上明らかであり、条文の文言のみで比較することは妥当ではないと考えている。

十六について

 御指摘の各声明については、日本学術会議が独立して行う職務の一環として発出されたものであり、お尋ねについてお答えすることは差し控えたい。

十七について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、日本学術会議がその役割を適切に果たし、国民に理解される存在であり続けることが重要であると考えており、現在、日本学術会議においては、会員候補者の選考過程の透明性の向上について検討課題の一つとされていると承知している。

十八について

 個別の報道の内容についてのお尋ねであり、政府としてお答えすることは差し控えたいが、今般の会員の任命に当たって、日本学術会議からの会員の候補者の推薦の前に、日本学術会議事務局を通じて意見交換が行われたものと承知している。

十九について

 政府としては、会員の任命に関する質問については、可能な限り誠実に対応しているところである。