質問主意書

第203回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三五号

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)に関する研究の促進と治療体制の確立に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年十二月四日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)に関する研究の促進と治療体制の確立に関する質問主意書

 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(以下「ME/CFS」という。)は、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類において神経系疾患と分類されている神経難病である。米国では国立衛生研究所(NIH)神経系疾患セクション主導でウイルス感染後ME/CFSの研究が行われており、日本においても日本医療研究開発機構(以下「AMED」という。)の二つの研究班が、神経難病として本格的な研究を進めている。
 このME/CFSに対する取組に関し、以下質問する。

一 二〇一四年の厚生労働省の実態調査で、ME/CFSは患者の約三割が寝たきりに近く、ほとんどの患者は職を失うという深刻な実態が明らかになっている。それにもかかわらず、ME/CFSは国内において専門医が非常に少なく、診断に何年もかかる人が多いといわれている。国内の患者数は約十万人と推定されているが、専門的な知識を持って診断できる医師が国内に何人いるのか具体的に把握しているか。概数を示されたい。

二 また、ME/CFSは症状が深刻なだけではなく、二十代~三十代で発症する患者が非常に多く、社会的損失は計り知れず、早く診断して治療を開始することが重度化を防ぐために非常に重要であるにもかかわらず、ME/CFSの治療へのアクセスが困難である現状がある。国の神経難病の研究機関である国立精神・神経医療研究センター(以下「NCNP」という。)には、すでに百五十人ほどの患者が通院しており、免疫や脳血流等の客観的検査をすれば、臨床経験を二名の医師が五年以上にわたって積み上げており、その他の色々な検査を組み合わせて、国際的なレベルでME/CFSの正確な診断が可能である。これらのことを鑑み、NCNPに専門外来を開設することを検討すべきではないか。

三 ME/CFSは客観的診断基準が確立していないために未だに指定難病になっていないが、AMEDにおいて研究を行っているNCNPには、最新のMRIや次世代シークエンサー、PETもあり、神経免疫や睡眠医学の専門家、脳神経内科、放射線科など、ME/CFSの研究に必要なスタッフが揃っており、全国レベルで客観的な診断を行えるようにするための試薬開発や診断技術開発の研究をしている。さらに、NCNPでは関係部門が治験の準備をしており、NCNPにME/CFSの研究センターをつくり、この病気の解明や治療薬開発の研究の促進を図ることを検討すべきではないのか。

四 客観的診断のために、血液検体を集めて検査会社で検査を実施できるような体制作りも必要であり、抗体検査の一部はNCNPがドイツの会社に委託している。国内の検査会社がこうした対応能力をつけることができるような体制作りを検討すべきではないか。

  右質問する。