質問主意書

第203回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三三号

日本学術会議の存在意義の有無に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年十二月四日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   日本学術会議の存在意義の有無に関する質問主意書

 世間では菅総理が日本学術会議(以下「学術会議」という。)の一部の会員の任命を拒否したことの是非が問われている。私は任命権者が政治家である以上は任命の拒否が有り得ることは当然のことだと考える。もし、政治家が任命権者であるにもかかわらず任命の可否の判断ができないようであれば政府は学術会議に諮問する必要はないのではないか。その場合は学術会議の勧告や助言は一方通行のものであり政府との双方向的な応答とは言えない。実際、近年は政府から学術会議に諮問することはなくなっていると承知している。学術会議の次期会員の選考を以前は各学会からの推薦によって行われていたが、二〇〇五年からは現会員による選考によって行われており、学術会議は各学会を代表する会員によって構成されることはなくなった。これでは俯瞰的な総合的な体制作りには至らない。あわせて、各省庁が独自の諮問機関を設立していることから学術会議の機能を必要とすることがなくなっていると言える。国が支給する科学研究費補助金の審査委員の推薦権も学術会議から十五年前に剥奪されており、国の機関でありながら政府との関係を築くことなく学術会議は機能不全のまま現在に至っていたと言えるだろう。
 考え様によっては、そのような状態にありつつも自主的な改革に取り組まずに存在の法的根拠だけを口実にして継続してきた日本学術会議に対して、今回は菅総理が直接的に警鐘を鳴らしたという解釈もできる。
 一九八三年に政府は学術会議の会員を提案のままに「そのまま任命する」と明言したことも学術会議の緊張感を無くす要因になったと考える。
 学術会議は各学会を代表することはなくなったが、同時に政府の諮問機関でもなくなったとも言え、このままでは政治的にも学術的にも有用になりえず有益にもなりえないと思われる。
 このような状況を踏まえて、以下質問する。

一 この際、学術会議を廃止することを検討すべきと考えるが、政府の見解を伺いたい。

二 日本国において学術に関する政府の諮問機関を支援するような篤志家は少なく、金銭的な支援が広く社会に根付くことは難しいのではないかと考えられるところ、真に必要とされて機能する政策提言機関を求めるのであれば、学術会議とは別に、既に設立している各省庁の諮問機関を統合し、全額公費で賄われるような新たな組織団体を設立することを検討すべきと考えるが、政府の見解を伺いたい。

三 政府の予算による運営がなされるにあたり、任命権の行使など一応の時の政府つまり政治的なフィルターを通過することは民主主義国家であることからやむを得ず、その上での独立性が完全ではないという反論に対しては、政治家による世論のフィルターを通したと見なして寛容であるべきと考えるが、政府の見解を伺いたい。
 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。