質問主意書

第203回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二六号

「明治日本の産業革命遺産」の第四十二回世界遺産委員会決議の勧告に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年十二月一日

勝部 賢志


       参議院議長 山東 昭子 殿



   「明治日本の産業革命遺産」の第四十二回世界遺産委員会決議の勧告に関する質問主意書

 二〇一五年七月五日、第三十九回世界遺産委員会は、「明治日本の産業革命遺産」について、日本政府が「日本は、一九四〇年代にいくつかのサイトにおいて、その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと、また、第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる所存である」と発言したことに留意し、世界遺産として登録することを決定した。そして、日本政府に「各サイトの歴史全体についても理解できるインタープリテーション(展示)戦略とすること」を勧告した。
 このことについて日本政府は、二〇一七年十一月三十日に、ユネスコ世界遺産センターに保全状況報告書を提出し、「内閣官房は、独立した国際的専門家によるインタープリテーション監査、イコモス国際学術委員会委員長の各サイトにおける「歴史全体」のインタープリテーションに関する助言を踏まえ、インタープリテーション戦略を策定した」と述べ、「日本政府は、二〇一九年度中を目途に総合的な情報センターとして「産業遺産情報センター」を東京に設置する方針であり、(中略)産業労働を含む産業遺産に関する他の情報も発信する予定である」と報告した。
 この報告に対し、二〇一八年七月の第四十二回世界遺産委員会は、歴史問題の展示などについて「関係者との対話を継続すること」を促し、二〇一九年十二月一日までに履行状況を報告することを日本政府に求めた。
 このことについて日本政府は、二〇一九年十一月二十九日に保全状況報告書を提出し、「関係者との対話については、「明治日本の産業革命遺産」の関係者間において、定期的に協議を行い、幅広い対話に努めてきた」と報告しているが、このことに関し、以下質問する。

一 第四十二回世界遺産委員会において、「関係者との対話を継続すること」を促す勧告が行われることになった経緯について日本政府は、どのように考えているか。

二 日本政府は、この決議でいう「関係者」の中には、韓国政府が含まれていると考えているか。

三 同じく、この「関係者」には、「明治日本の産業革命遺産」の現場で、その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた日本人、朝鮮人、中国人、連合軍捕虜などの強制労働被害者やその遺族が含まれていると考えているか。

四 同じく、この「関係者」には、「明治日本の産業革命遺産」に関して、日本政府やユネスコ世界遺産センターなどに要望書などを提出している「強制動員真相究明ネットワーク」などの民間団体も含まれていると考えているか。

五 第四十二回世界遺産委員会の決議の第十項に基づく協議の申し出が、韓国政府から日本政府にあったとの報道があるが、韓国政府から協議の申入れはあったか。

六 第四十二回世界遺産委員会の決議の第十項に基づき、日本政府と韓国政府の間で協議が行われたことはあるか。

  右質問する。