質問主意書

第203回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二五号

環境事務次官による炭素税への言及が政治的行為に当たるかの見解に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年十一月三十日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   環境事務次官による炭素税への言及が政治的行為に当たるかの見解に関する質問主意書

 中井徳太郎環境事務次官による「炭素税導入が必要と考えている」という趣旨の発言について、以下質問する。
 日本国憲法第十五条第二項には、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」とあり、公務員の職務の遂行に当たっては、中立・公平性が強く求められる。これに基づき国家公務員法第百二条第一項では「職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。」としている。また、人事院規則一四―七第五項第五号は政治的目的として「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること。」と定め、同第六項第十一号は政治的行為として「集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声器、ラジオその他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること。」と定めており、国家公務員の公の場での政治的行為とみなされる発言は、中立・公平性が強く求められる趣旨に照らし厳しく制限されている。
 一方、中井事務次官は令和二年七月二十二日の記者会見において「脱炭素の世界に行くためのメルクマールとしてはカーボンプライシングは炭素税も含めて大変有効だと私も本当に思ってます。」、「環境省としてはまだ税制要望という形では行っていませんが、どういう形になるかこれから検討していきたいと思います。」と発言している。この発言は政治的行為に当たるか如何か、見解を問う。
 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。