質問主意書

第203回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一九号

日本放送協会とその委託業者間の業務委託契約書の契約内容が弁護士法第七十二条に抵触するか否かに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年十一月十三日

浜田 聡


       参議院議長 山東 昭子 殿



   日本放送協会とその委託業者間の業務委託契約書の契約内容が弁護士法第七十二条に抵触するか否かに関する質問主意書

 日本放送協会(以下「協会」という。)は、協会への放送受信料支払いなどの金銭債権の回収を、弁護士法人でない委託業者に、業務委託契約書(以下「契約書」という。)の契約内容に基づき、多くの場合は委託業者による戸別訪問によって業務を行わせている。とある協会の委託業者と協会との間で交わされた契約について、契約書の内容の一例を示すと、以下のとおりである。
「1 委託事業名称および内容
  (1) 名称 放送受信料の契約収納業務
  (2) 内容 次のとおりとし、その詳細は本契約書に添付する仕様書(以下「仕様書」という。)に定める。
    ① 放送受信料の契約勧奨・取次業務およびこれに付随する事務
    ② 放送受信料の収納業務およびこれに付随する事務
    ③ 放送受信料の未収者および一部未納者に対する支払の督励業務および未収受信料の収納業務ならびにこれらに付随する事務
    ④ 前三号に関連する、公共放送および受信料制度に関する視聴者の理解を促進する業務」
 以上が契約書の内容の一例である。
 委託業者による放送受信料などの債権回収関連業務にもし制限がないとすると、無資格者が法律事務の取扱いをできることになり、いわゆる反社会的勢力が債権回収関連業務を受託することにもなりかねないため、債権回収関連業務を取り扱うことのできる者に制限をかける法律として弁護士法が存在すると承知している。その中でも、弁護士法第七十二条には、弁護士または弁護士法人以外の者は、報酬を得る目的で法律事務の取り扱いや、周旋をすることを業とすることができない旨の記載がある。弁護士法違反は犯罪であり、弁護士法違反においてなされた契約は無効となるだけでなく、弁護士法違反を犯した者に二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金という重い罰則がある(同法第七十七条第三号)。弁護士でもなく弁護士法人でもない、協会の委託業者と協会との間で交わされた前述の契約書の内容が弁護士法第七十二条に抵触するかどうか、以下質問する。

一 前述の契約書に記載の放送受信料の契約勧奨は、弁護士法第七十二条に抵触するか。同じく、放送受信料の取次業務は同法に抵触するか。

二 前述の契約書に記載の放送受信料の収納業務は、弁護士法第七十二条に抵触するか。

三 前述の契約書に記載の放送受信料の未収者および一部未納者に対する支払の督励業務は、弁護士法第七十二条に抵触するか。

四 前述の契約書に記載の放送受信料の未収者および一部未納者に対する未収受信料の収納業務は、弁護士法第七十二条に抵触するか。

五 前述の契約書に記載の公共放送および受信料制度に関する視聴者の理解を促進する業務は、弁護士法第七十二条に抵触するか。
 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

  右質問する。