質問主意書

第203回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八号

菅総理と蔡英文総統の電話会談に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年十月二十九日

熊谷 裕人


       参議院議長 山東 昭子 殿



   菅総理と蔡英文総統の電話会談に関する質問主意書

 日本と中華民国(台湾)の間には正式な国交はないものの、日台の深い絆があることは論を俟たない。台湾の方々の親日感情は強く、政治家があらゆる機会を通じて日台の友好関係を深めることは有意義だと信じる。
 令和二年九月十八日、森喜朗元総理は李登輝元台湾総統の告別式に出席するために訪台した。同日、森氏を団長とする弔問団は総統府で蔡英文総統を表敬訪問した。
 蔡総統は「李元総統と台湾に対する友情に感謝する」と述べ、森氏は当時の安倍総理から告別式への参列を要請されたことを明らかにするとともに、菅総理からの伝言として「何かの機会にお電話でも(いいから)お話しできればいいなと思っている」との意向を蔡総統に伝えたと承知している。
 現時点で菅総理と蔡総統との会談は電話会談を含めてなされていない。
 右を踏まえて、以下質問する。

一 九月十九日の産経新聞の報じるところでは、中国外務省の汪文斌報道官は台湾の蔡総統と同月十八日に会談した森氏が、菅総理が「機会があれば蔡氏と電話で話ができれば」との意向があると表明したことについて、日本に説明を求めたとする談話を発表した(中国外務省ホームページの「外交部言人汪文斌就媒体称日本人有意与蔡英文通」)。汪氏は「日本側は、メディアが報道していることは絶対に起こらないと明確に述べた」(中国外務省ホームページ上での汪文斌報道官の発言は「我注意到有道、已要求日方作出澄清、日方明表示媒体道的事情不会生」)と説明しているとのことであるが、中国外務省が在中国日本大使館等に説明を求めたのは事実か。また、日本政府関係者が、菅総理の「機会があれば蔡氏と電話で話」ができればとの意向に対し、「絶対に起こらないと明確に述べた」ことは事実か。政府の見解如何。

二 今後、菅総理が蔡総統と電話会談する可能性については否定されず、電話会談が行われる余地はあるとの理解で良いか。それとも政府として「絶対に起こらない」との方針なのか。政府の見解如何。

三 外交関係において不変のものはなく、国際情勢の中で常に変化していく。追求すべきは日本の国益であり、そのためには台湾との友好関係は日本の国益上不可欠なものである。日本政府関係者が菅総理と蔡総統との電話会談が「不会生」(絶対に起こらない)と発言したならばあまりにも不適切ではないか。そもそもかかる発言は事実であるのか、また日本政府のどのような立場の者が行ったのか。この発言が事実ではないとすれば中国外務省の汪氏の発言が虚偽であるという理解で良いか。政府の見解如何。

  右質問する。