質問主意書

第202回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇二第二七号
  令和二年十月二日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員小西洋之君提出いわゆる敵基地攻撃能力に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出いわゆる敵基地攻撃能力に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねについて、昭和三十一年二月二十九日の衆議院内閣委員会における鳩山内閣総理大臣の「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」との答弁(船田防衛庁長官代読)で述べた見解に変わりはない。
 その上で、我が国として、いかなる状況において講ずるいかなる措置が自衛の範囲に含まれるかについては、実際に発生した武力攻撃の規模、態様等に即して判断されるべきものであり、お答えすることは困難である。

三について

 お尋ねについて、政府としては、「平成三十一年度以降に係る防衛計画の大綱」(平成三十年十二月十八日閣議決定)において示されているとおり、我が国を取り巻く安全保障環境が格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増す中で、我が国の防衛の目標を達成するためには、平成二十七年四月二十七日(現地時間)の日米安全保障協議委員会において了承された日米防衛協力のための指針の下で、日米同盟の一層の強化を図ることが必要であると考えている。また、日米同盟の一層の強化に当たっては、我が国が自らの防衛力を主体的・自主的に強化していくことが不可欠の前提であり、同盟の抑止力・対処力の強化、幅広い分野における協力の強化・拡大等の取組を推進する必要があると考えている。その上で、お尋ねの答弁に示されている考え方は、令和二年九月十一日の内閣総理大臣の談話において示されているとおりである。

四について

 一及び二についてでお答えしたとおり、我が国として、いかなる状況において講ずるいかなる措置が自衛の範囲に含まれるかについては、実際に発生した武力攻撃の規模、態様等に即して判断されるべきものであり、お答えすることは困難である。

五について

 「専守防衛」とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、政府として、我が国の防衛の基本的な方針である「専守防衛」を維持することに変わりはない。