質問主意書

第202回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇二第二六号
  令和二年十月二日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員小西洋之君提出憲法第九条第二項の戦力の不保持の趣旨に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出憲法第九条第二項の戦力の不保持の趣旨に関する質問に対する答弁書

一から六までについて

 お尋ねの「他国に侵略的攻撃的脅威を与える兵器」の意味するところが必ずしも明らかでなく、お答えすることは困難であるが、政府としては、従来から、自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、憲法第九条第二項によって禁じられていないと解しているが、性能上専ら他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる兵器については、これを保持することが許されないと考えている。それ以外の個々の兵器については、これを保有することにより、我が国が保持する実力の全体が自衛のための必要最小限度を超えることとなるか否かによりその保有の可否が決せられるものであると考えている。なお、自衛のための必要最小限度の実力の具体的な限度については、その時々の国際情勢や科学技術等の諸条件によって左右される相対的な面を有する。
 御指摘の昭和五十七年三月二十日の参議院予算委員会における伊藤防衛庁長官(当時)の「政府はこれまで他国に侵略的攻撃的脅威を与えるような装備は保持しないという基本的な方針を述べてまいりましたが、これは、わが国はあくまでも自衛のため必要最小限の範囲内で防衛力を保持するものであり、これに反するような装備は保有しないということを敷衍して申し上げているものでございます。したがいまして、他国に侵略的攻撃的脅威を与えるような装備とは、わが国を防衛するためにどうしても必要だと考えられる範囲を超え、他国を侵略あるいは攻撃するために使用されるものであり、またその能力を持っておると客観的に考えられるような装備を言うものと考えておりますが、どのような装備がそれに当たるかということは、これまた先生も御質問の中で触れられましたように、その装備の用途、能力あるいは周辺諸国の軍事能力など、そのときにおける軍事技術等を総合的に考慮して判断すべきものであるものと考えております。」との答弁は、この趣旨を述べているものと考えている。