質問主意書

第202回国会(臨時会)

答弁書


内閣参質二〇二第一六号
  令和二年十月二日
内閣総理大臣 菅 義偉


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員山添拓君提出羽田空港の新飛行ルートに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山添拓君提出羽田空港の新飛行ルートに関する質問に対する答弁書

一の1について

 東京国際空港(以下「羽田空港」という。)において、南風時に新たな飛行経路を運用する十五時から十九時までの間(以下「新経路運用時間帯」という。)に南風運用を行った日数は、令和二年七月においては二十日、同年八月においては二十三日である。

一の2について

 御指摘の国土交通省作成のパンフレット等における「南風運用の割合」が「約四割」との記載は、平成二十八年から平成三十年までの三年間の新経路運用時間帯における、羽田空港に離着陸した航空機の総数に対する南風時の従来の飛行経路を飛行した航空機の総数の割合をお示ししたものであり、羽田空港における新たな飛行経路(以下「新経路」という。)の運用開始後における南風運用の割合の「見通し」をお示ししたものではないが、いずれにせよ、御指摘の「南風運用の比率」については、季節により変動するものであることから、新経路の運用を開始した令和二年三月二十九日から六か月程度しか経過していない現時点においては、その高低について評価することは困難である。

二の1について

 羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会(以下「検討会」という。)は、最近の航空管制及び航空機の技術革新の進展を踏まえ、新経路の航空機の騒音による影響(以下「騒音影響」という。)の軽減、固定化回避等の観点から、新経路の見直しが可能な方策がないかについて技術的観点から検討を行うものであり、現在は、第一回検討会における議論を踏まえ、事務局である国土交通省航空局交通管制部交通管制企画課及び管制課において、海外空港における事例調査等により、考えられる技術的選択肢の洗い出しを行っているところである。お尋ねの「第二回以降の」「開催計画」については、当該事例調査等の状況を踏まえて決定することとしており、現時点においては未定である。
 また、お尋ねの「結論を得る時期」の意味するところが必ずしも明らかではないが、検討会においては、考えられる技術的選択肢について、本年度中にそれぞれのメリット及びデメリットを整理することとしており、その後の検討の方向性等については、現時点においては未定である。

二の2及び4について

 お尋ねの「新経路の固定化回避」とは、交通政策審議会航空分科会基本政策部会首都圏空港機能強化技術検討小委員会における検討の結果、平成二十六年七月八日に「首都圏空港機能強化技術検討小委員会の中間取りまとめ」において羽田空港の航空需要の増大等に対応するための方策として滑走路の運用方法の見直し等が取りまとめられたことを踏まえ、見直し後の滑走路の運用方法を前提とした上で、新経路の将来にわたる固定化を回避することを意味しており、検討会において、「新飛行ルートの滑走路運用及び発着便数」を「再検討」することは考えていない。

二の3について

 新経路の固定化回避については、令和元年六月に東京都品川区から、新経路の運用開始後に同区等の新経路のうち南風時に運用される到着経路(以下「新到着経路」という。)下の地方公共団体や新到着経路下の地域の地方議会議員から、それぞれ要望があったこと等を踏まえ、新到着経路を中心に検討を行っているところである。なお、検討会においては、同都大田区、神奈川県川崎市等の要望を踏まえ、海外空港における事例調査を到着経路に限定せず行う予定である。

三の1について

 新経路の運用により首都圏における騒音影響が分散されることについては、これまで千葉県及び関係市町村並びにこれらの地域の住民の方々へ説明を行ってきたところであり、「羽田再拡張後の飛行ルート等に関する確認書(令和元年十二月二十五日)」(以下「確認書」という。)中の御指摘の記載内容が「新飛行ルートの必要性についての政府の従来の説明と矛盾する」とは考えていない。

三の2について

 新経路の運用開始後においては、例えば、新経路下の地域の住民の方々からは、「航空機の騒音が大きい」、「新型コロナウイルスの影響により減便が発生していることから新経路を運用する必要はない」等の意見が、千葉県及び関係市町村で構成される「羽田再拡張事業に関する県・市町村連絡協議会」からは、国土交通省と同協議会との間で新経路運用時間帯においては南風時の従来の飛行経路を運用しないこと等を確認している確認書に記載の内容を今後も着実に履行することを求める意見が寄せられているところである。我が国の国際競争力の強化、首都圏における騒音影響の分散等のためには、新経路の運用は必要不可欠であり、「新飛行ルートの運用を継続することの是非について再検討」することは考えていないが、引き続き、関係地域の地方公共団体及び住民の方々からの意見を伺いつつ、航空機の騒音対策や航空機からの落下物対策を実施してまいりたい。

四について

 航空機は、機種により搭乗できる最大の乗客数が異なるものであり、今後、実際に「新飛行ルートを上限いっぱいの発着回数で運用し、国際線を一日百三十便まで増便した場合」に、各便がどのような機種により運航されるかは現時点で明らかではないため、「羽田空港において想定される一日あたりの入国者数は最大何人か」及び「そのために必要な検査能力を確保していく方針か」とのお尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、検査能力の確保については適切に対応してまいりたい。