質問主意書

第202回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三九号

いわゆる検察庁法改正案を断じて国会提出すべきでないことに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年九月十八日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   いわゆる検察庁法改正案を断じて国会提出すべきでないことに関する質問主意書

 上川陽子法相は本年九月十六日の就任記者会見で、通常国会でいったん廃案となった、検察官の勤務延長等を可能とするいわゆる検察庁法改正案について「改正部分についてさまざまな意見があったと承知している。関係省庁と協議し、再提出に向けて検討したい」との旨を述べている。
 これについて以下質問する。

一 政府はこの間、「御指摘の法律案は、検察官は、検察庁法第二十二条及び国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十一条の二第一項の規定に基づき定年により退官(退職)しているとの理解に基づき立案したものである。」、「検察官に国家公務員法第八十一条の三の規定が適用されるという解釈に基づいて立案した条文としては、第二百一回国会に提出した国家公務員法等の一部を改正する法律案(以下「国公法等改正法案」という。)第四条の規定による改正後の検察庁法第二十二条第二項や国公法等改正法案附則第三条第七項等がある。」と述べているが、これらは検察庁法改正案が違法無効の法令解釈に基づき、かつ、当該法令解釈に基づいて立案された条文をも含む法案であり、故に、我が国の検察官制度の独立性のみならず我が国の法の支配そのものの破壊となる空前の暴挙であり、政府は当該法案を国会に提出することは断じてあってはならないのではないか。

二 前記一について、法務省の官僚は上川法相に対して、検察官に勤務延長を認める解釈変更及び検察庁法改正案が空前絶後の違法行為であることについて、関係の国会会議録や質問主意書などを基に丁寧に説明し、仮に当該法案を国会提出した場合には政治生命を失うほどの厳しい追及を国会議員及び国民世論から受けることをしっかりと説明する必要があるのではないか。菅総理の見解を問う。

三 前記一及び二について、政府は「検察官の定年引上げ等を内容とする検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)の改正案については、令和元年十月末頃、その当時の案文について、内閣法制局第二部長の審査を終了したものであるところ、当該案文には御指摘の「検察官の役降り特例、勤務延長」に関する規定は設けられていなかった。」としているのであるから、政策論としても検察官に勤務延長や役降り特例は不要である訳であり、政策論的に不要な法案を国会に提出して国会や国民世論から厳しい追及を受ける必要はないのではないか。そうまでして、菅内閣は先の黒川検事長の勤務延長強行のように勤務延長や役降り特例を悪用して検察を私物化したいのか。

四 「検察官に国家公務員法第八十一条の三の規定が適用されるという解釈」は黒川検事長が刑法の常習賭博罪に該当する違法行為の暴挙によって退官した後も今なお残っている検察官の独立性を脅かす違法無効の暴挙である。菅内閣は当該解釈を即刻破棄するべきではないか。

  右質問する。