質問主意書

第202回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三三号

アベノミクス下の労働市場の深刻な歪み等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年九月十八日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   アベノミクス下の労働市場の深刻な歪み等に関する質問主意書

一 安倍総理は退陣会見で「二十年続いたデフレに「三本の矢」で挑み、四百万人を超える雇用を作り出した」と述べた。しかし、雇用者数の増加に貢献したのは非正規労働者であり、二〇一三年から二〇一九年末の間に約三百五十万人増加した。この要因として高齢者の継続雇用や女性の労働参加が進んだためと政府は説明しているが、高齢者や女性の非正規雇用労働者の中には生計維持者として家計の支え手である者も多い。アベノミクスとは正規雇用の創出には失敗し、非正規雇用を増やした政策ではなかったのか。アベノミクスを修正し、雇用の基本は正規雇用であるという考えに立ち戻るべきではないか。

二 有効求人倍率についても政権発足時の二〇一二年十二月の〇・八三倍から二〇一八年十二月には一・六二倍まで上昇し、その後も一倍を超える水準で推移している。しかし、その中身を見ると人手不足が深刻なのはサービス業や建設業等非正規雇用が多く賃金も低い業種となっており、このような業種に対する抜本的な労働環境や処遇の改善は進んでいないのではないか。

三 新型コロナウイルス感染症の影響等により八月末時点で非正規雇用労働者を中心に約五万人が解雇された。これはアベノミクスにより増えた雇用が非常に不安定で、企業の雇用の調整弁として使われているという証左ではないか。同感染症の収束が見えない中、七月時点での休業者数は約二百二十万人となっており、今後この中から多くの失業者が出る可能性があるのではないか。

四 前記一から三について、アベノミクスとは結局のところ労働市場に深刻な歪みをもたらした政策ではなかったのか。

  右質問する。