質問主意書

第202回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三二号

安倍内閣の集団的自衛権行使の容認が近代立憲史上に例のない暴挙等であることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年九月十八日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   安倍内閣の集団的自衛権行使の容認が近代立憲史上に例のない暴挙等であることに関する質問主意書

 安倍内閣は令和二年九月十六日の閣議決定「内閣総辞職に当たっての内閣総理大臣談話」において、「外交・安全保障では、集団的自衛権に係る平和安全法制を制定し、助け合える同盟はかつてなく強固なものとなりました。」と述べている。
 また、安倍総理は、平成二十六年三月十九日の参議院予算委員会において、日本が米国のために集団的自衛権を行使しなければ、日米の同盟は著しく毀損される旨答弁し、平成二十五年五月八日の参議院予算委員会において、安保条約及び同盟そのものが大きな危機に陥る旨答弁している。
 これらについて以下質問する。

一 第二次安倍政権の発足から令和二年九月十六日までの間で、米国政府から、日本は米国のために集団的自衛権を行使できるようにすべきである、あるいは、日本が米国のために集団的自衛権を行使できるようにするために憲法第九条の規範を変更すべきであると要求されたことはあるのか。

二 「集団的自衛権に係る平和安全法制を制定し」というのは安倍政権の業績であり、いわゆるレガシーに該当するものであると考えているのか。安倍内閣及び菅内閣の見解を説明されたい。

三 日本が米国のために集団的自衛権を行使するという「助け合える同盟」は、米国の戦争に日本が引きずり込まれるというリスクを有する同盟ではないのか。

四 政府は、日米同盟に基づく在日米軍基地は米国においてどのような利益があると考えるか。

五 日米同盟に基づく米海軍第七艦隊の母港である横須賀基地や米空軍の嘉手納基地等の在日米軍基地がなければ、米軍はアジア太平洋地域からインド洋地域に至るまで軍事的なプレゼンスや軍事的な影響力を著しく失うこととなると考える。米国は日米同盟からこうした計り知れない利益を受けているにもかかわらず、なぜ、日本が米軍のために集団的自衛権を行使しなければ、日米同盟が著しく毀損され、同盟そのものが大きな危機に陥ると考えるのか。政府の見解を示されたい。

六 前記三及び四について、安倍総理は日米同盟に基づく在日米軍基地が米国に与えるこの上なく大きな利益について米国政府や米国民に説明をしたことがあるのか。ある場合は、どのような機会に行っていたのか説明されたい。

七 安倍政権による集団的自衛権の行使容認は、日米同盟を片務条約に貶め、日本が米国の戦争に巻き込まれるリスクを生じさせた究極の売国行為ではないのか。

八 私は、安保法制の集団的自衛権行使から自衛官ら国民の生命を守り、憲法第九条の法規範と我が国の法の支配及び立憲主義を守るために国会質疑等を通じて、安倍内閣の集団的自衛権行使を容認する「憲法第九条の解釈変更」が、いわゆる昭和四十七年政府見解の中の「外国の武力攻撃」という文言を曲解し同見解の中に限定的な集団的自衛権行使を容認する歴代政府の憲法第九条解釈の「基本的な論理」なるものをねつ造したという、法解釈ですらない不正行為による絶対の違憲無効の暴挙であることを立証し、それを数多の国会会議録に刻んでいる。
 日本に民主主義と法の支配がある限り、「集団的自衛権に係る平和安全法制を制定」という近代立憲史上に例のない暴挙であり、日本国民の生命と尊厳をこの上なく蹂躙する暴挙(このような不正行為で自衛官ら国民が戦死しても構わないとするのは狂気というほかない)は廃止される運命にあると解するが、安倍内閣及び菅内閣の見解を示されたい。

  右質問する。