質問主意書

第202回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二九号

菅総理の有する日本社会像に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年九月十八日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   菅総理の有する日本社会像に関する質問主意書

 菅総理は、令和二年九月十六日の記者会見において「私が目指す社会像、それは、自助・共助・公助、そして絆であります。まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットでお守りをする。こうした国民から信頼される政府を目指していきたいと思います。そのためには行政の縦割り、既得権益、そして悪しき前例主義、こうしたものを打ち破って、規制改革を全力で進めます。」と述べている。
 また、菅総理は著書「政治家の覚悟 官僚を動かせ」の百九十七ページにおいて、「自民党は自助自立を基本として制度をつくってきました。自分のことは自分でする、それが難しいものについて隣近所や会社などで支えあうのが「共助」です。そして、最後に国が責任をもって支えるのが「公助」という順番です。しかし、民主党は、子ども手当や年金への考え方が示すように、国からの直接給付を増やし、公序を大きくしようとしています。いたずらに給付を拡大しては、国民の自立心は薄れ、国への依存心ばかり大きくなってしまいます。日本社会のすばらしさは、日本人の自立心であり、助け合いの精神にあります。民主党の政策の根底にある考え方には、長い間かけて培われてきた日本人の優れた特性を、根底から壊してしまう怖さを感じます。」と述べている。
 これらについて、以下質問する。

一 菅総理が著書で述べている見解は今日でも維持しているのか。見解が変化しているところがあればそれを示しつつ答弁されたい。

二 菅政権においては「自助自立を基本として制度をつくって」いくのか。もしそうでないのであれば、菅総理がいうところの「自民党は自助自立を基本として制度をつくってきました。」との見解と矛盾することになるのではないか。菅総理の考えを示されたい。

三 菅総理の「私が目指す社会像、それは、自助・共助・公助、そして絆であります。まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合う。」との見解が意味するところは、菅政権においては「自助自立を基本として制度をつくって」いくという見解にあるということなのか、菅総理の考えを示されたい。

四 菅総理は、記者会見において、「少子化対策は我が国長年の課題であります。これまで幼稚園、保育園、大学、専門学校の無償化や、男性の国家公務員による最低一か月の育休取得も進めてきました。」と述べているが、この「幼稚園、保育園、大学、専門学校の無償化」は「いたずらに給付を拡大しては、国民の自立心は薄れ、国への依存心ばかり大きくなってしまいます」、あるいは、「長い間かけて培われてきた日本人の優れた特性を、根底から壊してしまう」との懸念が当たらないものなのか、当たらないと考える場合はその理由も含めて菅総理の見解を示されたい。

五 菅総理は、民主党政権時代に行われた社会保障政策や教育政策などは、「国民の自立心は薄れ、国への依存心ばかり大きくなってしまいます」、あるいは、「長い間かけて培われてきた日本人の優れた特性を、根底から壊してしまう」と懸念されるべきものと考えているのか。そのように考える場合は、具体的な政策の例を示されたい。

六 菅総理は「日本社会のすばらしさは、日本人の自立心であり、助け合いの精神にあります。」と述べているが、菅総理が目指す社会とは、自助及び共助を基本とする社会なのか。

七 菅総理は「いたずらに給付を拡大しては、国民の自立心は薄れ、国への依存心ばかり大きくなってしまいます。」と述べているが、菅総理においてそのような懸念が生じていると考える政策分野を示されたい。また、菅政権における基本的な政策方針としては公助を小さくしていく方針にあるのか。

八 菅総理が記者会見で述べている「若い人たちが将来も安心できる全世代型社会保障制度を構築してまいりたいと思います。」との見解は、「いたずらに給付を拡大しては、国民の自立心は薄れ、国への依存心ばかり大きくなってしまいます。」及び「長い間かけて培われてきた日本人の優れた特性を、根底から壊してしまう」との懸念は当たらないものなのか、当たらないと菅総理が考える場合はその理由を示されたい。

  右質問する。