質問主意書

第202回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二八号

菅内閣が目指す社会像「自助・共助・公助、そして絆」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年九月十八日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   菅内閣が目指す社会像「自助・共助・公助、そして絆」に関する質問主意書

 菅内閣は令和二年九月十六日の閣議決定「内閣総理大臣談話」において、「我々が目指す社会像は「自助・共助・公助、そして絆」です。その認識の下、地方の活性化、人口減少、少子高齢化をはじめ山積する課題を克服していくことが、日本の活力につながるものと確信しています。そのため、行政の縦割りや前例主義を打破して、既得権益にとらわれずに規制の改革を全力で進める「国民のために働く内閣」をつくり、国民の期待に応えてまいります。」としている。
 また、菅総理は、同日の記者会見において「私が目指す社会像、それは、自助・共助・公助、そして絆であります。まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットでお守りをする。こうした国民から信頼される政府を目指していきたいと思います。そのためには行政の縦割り、既得権益、そして悪しき前例主義、こうしたものを打ち破って、規制改革を全力で進めます。」と述べている。
 これらについて、以下質問する。

一 内閣総理大臣談話にある「我々が目指す社会像は「自助・共助・公助、そして絆」」について、自助、共助、公助のそれぞれの意味と各々の関係性を説明されたい。また、ここでいう絆とはどのような意味のものであり、当該絆が自助、共助、公助とどのような関係を有するものなのかについて分かりやすく説明されたい。

二 内閣総理大臣談話にある「我々が目指す社会像は「自助・共助・公助、そして絆」」について、具体的にどのような社会像を目指しているのかについて分かりやすく説明されたい。

三 菅総理、あるいは、菅政権が「まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットでお守りをする。」との原則が適合すると考える政策について、社会保障分野、教育分野、災害対策分野からそれぞれ例を三つずつ示されたい。

四 菅総理、あるいは、菅政権が「まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットでお守りをする。」との原則に沿うようにするために、今後変革をしようと考えている政策、あるいは、政策分野について、社会保障分野、教育分野、災害対策分野からそれぞれ例を二つずつ示されたい。

五 菅総理は記者会見において「不妊治療への保険適用を実現します」と述べているが、不妊治療への保険適用を実現することは自助、共助、公助、絆のどれに当たるのかなど、不妊治療への保険適用を実現することと自助、共助、公助、絆との関係について説明されたい。

六 内閣総理大臣談話及び記者会見の双方において、規制改革を全力で進めることを述べているが、規制改革が共助、公助の広がりや進展に資すると考える政策例について示されたい。

七 菅総理が官房長官を務めた安倍政権が目指していた社会像について説明するとともに当該社会像と菅内閣が目指す社会像「自助・共助・公助、そして絆」との関係や異同について説明されたい。

八 自助と絆は矛盾する概念ではないのか。菅総理、あるいは、菅政権が自助を強調しなければならないと考える政策、あるいは、政策分野を示されたい。

九 「我々が目指す社会像は「自助・共助・公助、そして絆」」という見解は日本国憲法にある理念や政策方針と調和するものなのか。調和すると考える時はそう考える理由について分かりやすく説明されたい。

十 我が国が直面する人口減、超高齢化、少子化、地方の過疎化の進行等の構造問題の現状を踏まえた時、国民生活においては自助、共助が困難な社会になっているのであり、「我々が目指す社会像は「自助・共助・公助、そして絆」」との見解は、日本社会の現状と課題から遊離した空疎なスローガンではないのか。

十一 国民において、現在のコロナ禍は自助や共助で乗り越えて行けるものなのかについて、菅総理の見解を示されたい。また、現在のコロナ禍における国民生活、国民経済の窮乏に直面する時に、「まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットでお守りをする。」との社会像を内閣が訴えることが適切であると考えるのかについて菅総理の見解を示されたい。

  右質問する。