質問主意書

第202回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二六号

憲法第九条第二項の戦力の不保持の趣旨に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年九月十八日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   憲法第九条第二項の戦力の不保持の趣旨に関する質問主意書

 政府は、昭和五十七年三月二十日の参議院予算委員会において、国務大臣の伊藤宗一郎君より「先生御指摘のとおり、政府はこれまで他国に侵略的攻撃的脅威を与えるような装備は保持しないという基本的な方針を述べてまいりましたが、これは、わが国はあくまでも自衛のため必要最小限の範囲内で防衛力を、保持するものであり、これに反するような装備は保有しないということを敷衍して申し上げているものでございます。したがいまして、他国に侵略的攻撃的脅威を与えるような装備とは、わが国を防衛するためにどうしても必要だと考えられる範囲を超え、他国を侵略あるいは攻撃するために使用されるものであり、またその能力を持っておると客観的に考えられるような装備を言うものと考えておりますが、どのような装備がそれに当たるかということは、これまた先生も御質問の中で触れられましたように、その装備の用途、能力あるいは周辺諸国の軍事能力など、そのときにおける軍事技術等を総合的に考慮して判断すべきものであるものと考えております。したがいまして、その判断基準を具体的に申し上げることは困難でございますが、性能上もっぱら他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる兵器、先生御指摘のたとえばICBM、長距離戦略爆撃機等はこれに該当するものと考えております。なお、昭和四十三年当時F4を導入した際に爆撃装置を取り外すこととしたのは、これを施したままでは他国に侵略的攻撃的脅威を与えるようなものとの誤解を生じかねないと配慮したからでございます。」と答弁している。
 これを踏まえ、以下質問する。

一 政府は従来から憲法第九条第二項の定める戦力の不保持について、「自衛のための必要最小限度の範囲を超える兵器」の保有は当該条項に違反するとしているが、この「自衛のための必要最小限度の範囲を超える兵器」とは「他国に侵略的攻撃的脅威を与える兵器」の意味であると解してよいか。

二 前記一に関し、政府は従来から「性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられるいわゆる攻撃的兵器」は憲法第九条第二項の戦力に該当し、こうした兵器の保有は違憲であるとしているが、この「性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられるいわゆる攻撃的兵器」には該当しないが「他国に侵略的攻撃的脅威を与える兵器」に該当することにより憲法第九条第二項において我が国が保有することができない兵器は法解釈上あり得るのか、政府の見解を示されたい。

三 ある兵器が「他国に侵略的攻撃的脅威を与える兵器」であるか否かについてはどのような基準や考え方を基に判断するのか、政府の見解を示されたい。

四 政府が従来から国会で答弁しているいわゆる敵基地攻撃能力を遂行するために必要な装備は「他国に侵略的攻撃的脅威を与える兵器」に該当し得るのかどうかについて政府の見解を示されたい。

五 菅内閣が認識する、現在において他国が保有する攻撃型空母ではないが「他国に侵略的攻撃的脅威を与える兵器」に該当する空母の例を示されたい。

六 菅内閣が認識する、現在において他国が保有する攻撃型空母ではないが「他国に侵略的攻撃的脅威を与える兵器」に該当する空母のうち、ヘリコプター搭載型ではなく航空機搭載型の空母の例を示されたい。

  右質問する。