質問主意書

第202回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一七号

令和二年度動物愛護週間中央行事「二〇二〇どうぶつ愛護オンラインシンポジウム」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年九月十八日

塩村 あやか


       参議院議長 山東 昭子 殿



   令和二年度動物愛護週間中央行事「二〇二〇どうぶつ愛護オンラインシンポジウム」に関する質問主意書

 環境省は、動物愛護週間に合わせて、本年九月二十六日にオンライン中継によるシンポジウム「二〇二〇どうぶつ愛護オンラインシンポジウム」(以下「本シンポジウム」という。)を実施し、三つの講演を開催すると聞く。現在、令和元年に改正された動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護管理法」という。)の施行に向けて、環境省令や告示等の改正作業が行われており、特に動物取扱業者が遵守すべき基準に係る、いわゆる「数値規制」が世論の注目を集めている中、本シンポジウムは、動物愛護管理法の目的である人と動物の共生する社会の実現のあり方を環境省がどのように考え、環境省令や告示等の改正に臨んでいるのかをはかることのできる機会であり、「数値規制」自体と同様に注目されている。
 昨今の日本の動物愛護は規制を嫌う業界団体と、適切な規制による動物福祉の実現を願う大多数の国民との攻防であるが、小泉環境大臣が令和二年度動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会(第七回)で発言された「厳しい規制が嫌がられるかどうかを判断のベースにするべきではない」という言葉通りである。動物愛護管理法は議員立法であり、立法者である私達議員も大臣と思いを一にしているとともに、「数値規制」の策定に際しては立法趣旨と立法者意思を最大限に尊重すべきであることは火を見るよりも明らかである。
 このような「数値規制」を求める流れを汲むのであれば、本シンポジウムにおいて、業界団体側と利害関係を有しており、動物愛護や動物福祉を求める国民の声を結果として否定しているとの疑義が上がっている団体や人物に、動物愛護管理法に係る立法者意思を最大限尊重すべき立場にある環境省が、仮に事実に反する発言がなされれば訂正される機会のあるパネルディスカッションではなく、発言に対して誰も疑義を呈することができないオンライン中継による講演を依頼することは、極めて慎重であるべきと考える。
 これらを踏まえて、以下、質問をする。なお、答弁に際しては、質問者の趣旨を十分に尊重し、「意味するところが必ずしも明らかではないが」等を用いて、答弁回避を行わないことを強く要望する。

一 本シンポジウムの開催に係る講師の選定の具体的基準を明らかにされたい。特に、講師の選定に係る要綱、事務処理要領その他の基準を策定しているのであれば、併せて御提示願う。

二 本シンポジウムにおける各講師を選定するに至った具体的な理由及び同講演において期待されている効果について明らかにされたい。

三 各講師が団体等による推薦に基づくものである場合、その団体名及び推薦の理由その他の推薦の内容を明らかにされたい。

四 講演の内容について、事前に動物愛護管理法に係る立法者意思と合致することを事前に確認されているのか明らかにされたい。

五 「鳥の目から見る、人と動物の共生社会―虫の目に偏らないために―」という講演の標題の意味を明らかにされたい。特に、「虫の目に偏らないために」という文言は、動物福祉の向上を求める国民が「数値規制」等の細かな項目にばかり拘泥しているとも解釈できる表現であり、「虫の目」に関する環境省の解釈を明らかにされたい。また、仮に同表現が「動物愛護管理法の立法趣旨」あるいは「動物愛護管理法の目的及び立法者意思」に反すると判断される場合、環境省の対応を併せて明らかにされたい。

  右質問する。