質問主意書

第202回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二号

コロナ禍における牛肉価格の下落から肉用牛肥育農家の経営を守り、地域経済の支援を求めることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年九月十七日

紙 智子


       参議院議長 山東 昭子 殿



   コロナ禍における牛肉価格の下落から肉用牛肥育農家の経営を守り、地域経済の支援を求めることに関する質問主意書

 新型コロナウイルス感染症の拡大によって、外食需要やインバウンド需要が減少し、東京市場の四月の和牛枝肉価格は、和牛去勢A4で一キロ千六百八十八円、前年比約三〇%安となった。
 政府は、牛マルキン(肉用牛肥育経営安定交付金制度)を発動し、持続化給付金などで支援しているが、ある肥育農家は千五百万円の赤字を抱え解消するに至っていないと訴えるなど、現在の支援策では多くの肥育農家の赤字を補填するに至っていない。
 また、コロナ禍であるにもかかわらず、環太平洋連携協定(TPP)や日米貿易協定の発効によって安い牛肉の輸入が続いていることも生産者の大きな不安になっている。
 一方、和牛肉の販売促進策、需要拡大策として行われている学校給食支援等は、予算の制約から提供回数が限られている。
 現在の肥育農家の経営危機は、コロナ禍の和牛枝肉価格の暴落だけでなく、政府が推進してきた東京オリンピック需要や輸出拡大に向けての和牛の増産政策に起因している。
 肥育農家の経営が打開されなければ地域経済にも大きな影響が出る。よって、コロナ禍における肥育経営と地域経済を支援するために、以下質問する。

一 肥育農家は、和牛枝肉価格の下落が長期化していることから、牛マルキンが発動されても二月末から発生した膨大な赤字を解消するに至っていないが、この実態をどのように認識しているか。政府の見解如何。

二 牛マルキンは、標準的販売価格が標準的生産費を下回った場合に、その差額の九割を交付金として交付する制度で、国が四分の三に相当する額を、生産者の積立金から四分の一に相当する額を、それぞれ交付するものと承知しており、肥育農家へのコロナ禍の影響を考慮し、政府が生産者の積立金(生産者負担分)を免除したことは必要な対策であったと考える。しかし、生産者負担分を差し引いた分の交付金しか補填されておらず、肥育農家の経営を維持するために満額支援すべきではないか。また、減額分を補填している地方公共団体の取り組みを明らかにされたい。

三 新型コロナウイルスという未曾有の被害に対して肥育経営を維持するための特別の支援、独自の支援を行うべきでないか。政府の見解如何。

四 現在、牛マルキンの財源が国費のみになっていることから、都道府県の財源である生産者の積立金が不足している。生産者の積立金が不足している都道府県名を明らかにされたい。また、今後の肥育農家に対する国の支援策についても示されたい。

五 学校給食へ和牛肉を提供する和牛肉等販売促進緊急対策事業は、予算の制約から提供回数が限られている。地域食材を生かす取り組みとして期待されている事業は、拡充すべきではないか。政府の見解如何。

  右質問する。