質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第一九六号
  令和二年六月三十日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員小西洋之君提出安倍総理の防衛大学校の卒業式での訓示に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出安倍総理の防衛大学校の卒業式での訓示に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「憲法違反」のプラカードを掲げた者の真意は承知し得ないところであるが、政府としては、もとより自衛隊は我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織であって憲法に違反するものではないと解してきており、また、今般の「中東地域における日本関係船舶の安全確保に関する政府の取組について」(令和元年十二月二十七日閣議決定)において実施することとした自衛隊の艦艇及び航空機による情報収集活動(以下「自衛隊による情報収集活動」という。)については、二についてで述べるとおり憲法第九条との関係で問題を生ずるものではないと考えているところ、当該自衛隊による情報収集活動のための艦艇の出航に際して、当該プラカードが掲げられていたことについて、安倍内閣総理大臣は、御指摘の「訓示」において、「隊員の幼い子供たちも、もしかしたら、目にしたかもしれない、どう思うだろうか。そう思うと、言葉もありません。」との心情を述べたものである。

二について

 今般の自衛隊による情報収集活動については、我が国と中東地域の関係国との間の良好な二国間関係や、我が国の活動に対する理解を促進するための外交努力等を踏まえれば、特定の国家が、日本関係船舶であることを認識し、これらの船舶に対して武器等を使用した不法な侵害行為を行うことは基本的にないと考えており、このことを前提にすれば、当該自衛隊による情報収集活動が、憲法第九条との関係で問題を生ずるものではないと考えている。
 また、一般論として、政府としては、従前から、自衛隊がその任務を遂行するために行う情報収集活動によって得られる情報を、一般的な情報交換の一環として提供することは、実力の行使に当たらず、憲法上の問題はないと考えているところ、今般の自衛隊による情報収集活動に際して実施する米国等との情報共有は、航行の安全確保のための一般的な情報交換の一環として実施するものであり、憲法上の問題はないと考えている。
 これらの趣旨は、令和二年一月十七日の衆議院安全保障委員会及び同日の参議院外交防衛委員会における政府の答弁を始めとして、同月二十日に召集された第二百一回通常国会を通じて、累次の機会に政府として答弁してきたところ、「憲法九条への適合性についての国会質問に対して安倍総理ら政府は徹底した答弁拒否を講じている」との御指摘は当たらず、「こうした安倍総理ら政府の姿勢こそ、自衛隊員やその家族の尊厳を重んじない暴挙というべきもの」との御指摘は当たらない。

 三について

 憲法改正については、国会が発議し、国民投票により決せられること等を踏まえ、政府としてお答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、安倍内閣総理大臣の御指摘の発言については、一についてで述べたとおりである。