質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第一七五号
  令和二年六月三十日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員小西洋之君提出黒川検事長の処分における「懲戒処分の加重要件」の違法な切り捨てに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出黒川検事長の処分における「懲戒処分の加重要件」の違法な切り捨てに関する質問に対する答弁書

一、二及び十一について

 御指摘の①から⑤までは、「懲戒処分の指針について」(平成十二年三月三十一日付け職職-六八人事院事務総長通知)の「第二 標準例」に掲げられた処分より重くすることが考えられる場合として記載されている例であって、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第一項に規定する懲戒処分(以下「懲戒処分」という。)を行うに当たってこれらへの該当性の有無についての検討が逐一求められるものではないところ、現時点で、黒川弘務元東京高等検察庁検事長(以下「黒川氏」という。)の非違行為についての御指摘の①の該当性の有無を検討することは考えておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。

三及び七から十までについて

 お尋ねの「一般論として・・・結果が極めて重大」、「どのように認識」、「自分が楽しめればそれでよい」、「自己中心的で悪質極まりないもの」及び「反社会的で悪質極まりないもの」の具体的に意味するところが明らかではないが、黒川氏は、公務外において、旧知の間柄の者との間で、千点を百円に換算する換金比率で麻雀を行ったものと認識しており、このような黒川氏の非違行為は誠に不適切であり、また、「法務省新型コロナウイルス感染症対策基本的対処方針」(令和二年四月十三日法務省新型コロナウイルス感染症対策本部決定)等に照らしても不適切なものであったと考えている。

四について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の森法務大臣の答弁は、一般論として、「懲戒処分の指針について」において記載されている「非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき」について、いかなる行為がこれに該当するのかは、個別具体的な事案によることになるため、画一的にお答えすることは困難である旨を述べたものであり、御指摘の「個別の事案の処分の検討に際して」は、一、二及び十一についてで述べたとおり、これへの該当性の有無についての検討が逐一求められるものではない。

五、六及び十二について

 一、二及び十一についてで述べたとおり、御指摘の①から⑤までは、懲戒処分を行うに当たってこれらへの該当性の有無についての検討が逐一求められるものではないことから、黒川氏の処分を決するに当たっても、御指摘の①から⑤までの該当性の有無についての検討を行っておらず、そのため、法務省において御指摘の「相談」は行っていない。

十三から十五までについて

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、黒川氏の処分については、処分を決するに当たり必要な調査を行った上で、「懲戒処分の指針について」の記載内容等をも踏まえ、諸般の事情を総合的に考慮して法務省の内規に基づく監督上の措置として訓告を行うことが相当であると 判断したものであって、適正な処分を行ったものと認識しており、「国家公務員法の趣旨に反する違法なもの」との御指摘は当たらない。