質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第一六四号
  令和二年六月三十日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」における新型コロナウイルス感染拡大の経緯の確認に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」における新型コロナウイルス感染拡大の経緯の確認に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「ダイヤモンド・プリンセス号」(以下「クルーズ船」という。)については、令和二年二月一日に那覇港に寄港した際に、検疫法(昭和二十六年法律第二百一号)に基づき、乗組員及び乗客についてサーモグラフィー等による健康状態の確認等を実施したところ、クルーズ船を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがほとんどないと認められたことから、クルーズ船の船長に対して、仮検疫済証を交付したものである。

二について

 お尋ねの「どのような要領」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「横浜港における検疫」については、検疫法に基づき、検疫官がクルーズ船に乗り込み、全ての乗組員及び乗客に対して、質問票の配布、健康状態の確認、PCR検査等を実施した上で、令和二年三月二十五日に、クルーズ船を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがないと認められたことから、クルーズ船の船長に対して、検疫済証を交付したものである。また、御指摘の「検疫の要領の改訂」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、「クルーズ船での検疫」は、同法に基づき適切に行われたものと考えている。

三について

 お尋ねの「乗船前及び乗船中の濃厚接触歴等の把握」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「中国系男性乗客」の行動の履歴等については、検疫を行うために必要な範囲において、地方公共団体等を通じて把握を行ったところである。

四について

 お尋ねの「クルーズ船の船長には、いつどのようなルートで、香港で下船した乗客の新型コロナウイルスの感染が伝えられたか」については把握していないが、厚生労働省においては、令和二年二月二日に、国際保健規則に基づく現地当局からの通報を受け、同日、クルーズ船の運航会社に対して伝達したところである。なお、御指摘の「香港で下船した乗客の新型コロナウイルスの感染」について、お尋ねの「確認ないし指示」は行っていない。

五について

 政府としては、令和二年二月三日にクルーズ船に対する検疫を開始し、新型コロナウイルス感染症にかかっている疑いがある者に対するPCR検査を開始したところ、同月四日に当該PCR検査の一部で陽性の検査結果が判明したことから、全てのPCR検査の結果の判明を待たず、同月五日に、新型コロナウイルス感染症のまん延を防ぐため、当分の間、乗客に対し、クルーズ船内の客室から出ることを控え、待機していただくよう指示すること等について、クルーズ船の船長を指導したものである。クルーズ船内においては、船長の判断により、感染拡大の防止のための対応が行われたものと承知している。

六について

 お尋ねの「措置」については、令和二年二月十五日に厚生労働省が公表した「クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号からの下船について」において示しているとおり、国立感染症研究所の「武漢からのチャーター便第一便から第三便までのPCR検査の結果(五百四十人が陰性、陽性の一人についてもウイルス検出量は陰性に近いレベル)を踏まえ、十四日間の健康観察期間中に発熱その他の呼吸器症状が無く、かつ、当該期間中に受けたPCR検査の結果が陰性であれば、十四日間経過後に公共交通機関等を用いて移動しても差し支えないとの見解」に基づくものである。 なお、新型コロナウイルス感染症のまん延の防止を図ることを目的として、「ダイヤモンド・プリンセス号の下船者に対する健康フォローアップについて(依頼)」(令和二年二月二十三日付け厚生労働省健康局結核感染症課及び医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課検疫所業務管理室事務連絡)により、「対象者の下船日の翌日を起算日として十四日経過するまでの間毎日、対象者に対して、健康フォローアップを実施する」ほか、 「やむをえず移動する際にも、公共交通機関の利用は避けるよう勧告する」こと等としたところである。

七について

 御指摘の「記者会見」が令和二年二月十五日の記者会見を指すのであれば、当該記者会見における加藤厚生労働大臣の発言は、当時の最新の知見に基づき、同日時点で確認されていたクルーズ船での新型コロナウイルス感染症の患者の多くが同月五日以前に感染した可能性が高い旨を述べたものである。