第201回国会(常会)
内閣参質二〇一第一六二号 令和二年六月三十日 内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 山東 昭子 殿 参議院議員牧山ひろえ君提出大規模災害時の自治体職員の派遣の円滑化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員牧山ひろえ君提出大規模災害時の自治体職員の派遣の円滑化に関する質問に対する答弁書 一について 御指摘の「被災市区町村応援職員確保システム」(以下「システム」という。)については、平成三十年三月に創設して以降、平成三十年七月豪雨を始め五回の災害対応の経験に照らせば、災害発生直後に大量の災害対応業務が発生する被災した地方公共団体にとって、非常に効果的な仕組みであると認識している。 システムがより有効に機能するためには、全国の市区町村、とりわけ市区町村長にシステムの存在を知っていただき、支援が必要な際には、臆することなく、システムに基づく応援職員等の派遣の要請(以下「派遣要請」という。)をしていただくとともに、応援職員をスムーズに受け入れるため、平時から受援計画を策定していただくこと等が必要不可欠であると考えている。 このため、都道府県及び指定都市の人事・市区町村・防災担当課長の会議においてシステムの説明をし、市区町村への周知を依頼しているほか、各ブロックで実施するシステムに関する情報伝達・連携訓練の実施を通じ、システムの習熟を図っている。また、市区町村長が出席する各種会議や消防庁主催の研修、内閣府主催の防災スペシャリスト養成研修等の機会にも、システムの説明を行っている。引き続き、会議や研修等の機会を通じて、システムの周知に努めてまいりたい。 二について 「被害状況を十分に把握していない段階でも、・・・利用を申入れすべきことを周知の内容に含めるべき」との御指摘については、令和元年東日本台風上陸前には、「令和元年台風第十九号への対応について」(令和元年十月十日付け総務省自治行政局公務員部公務員課応援派遣室事務連絡)を発出し、被災した市区町村においては、必要に応じて、ちゅうちょなく派遣要請を行うことが適当であること、また、各都道府県においては、被災した市区町村における人的支援ニーズの把握に努めるとともに、都道府県内の地方公共団体における応援職員の派遣等だけでは対応が困難な場合には、ちゅうちょなく、システムに基づき、応援職員の派遣についての協力を要請するよう、周知したところである。 令和二年度においても、「新型コロナウイルス感染症対策に配慮した被災市区町村応援職員確保システムに基づく応援職員の派遣について」(令和二年六月十五日付け総行派第二十二号総務省自治行政局公務員部公務員課応援派遣室長通知)において、必要に応じて、ちゅうちょなく派遣要請を行うこと等について、周知したところである。 三について 「大規模災害時に被災自治体から迅速に応援要請が入らない場合には、・・・被災自治体に対し制度利用を勧奨すべきではないか」とのお尋ねについては、災害発生時に、総務省において、被災した都道府県等を通じて被災した市区町村の意向確認及び派遣要請の働きかけを行っているほか、被災した都道府県に派遣される同省の職員も、被災した都道府県とともに、被災した市区町村に対して派遣要請の働きかけを行っている。また、令和元年房総半島台風においては、同省の職員が直接、被災した市町に赴いて状況を把握し、派遣要請の働きかけを行ったところである。 四について 御指摘の「「災害時に求められる支援業務の標準化」等」については、避難所運営、罹災証明書交付手続、災害廃棄物処理等の災害対応業務については、それぞれ所管府省庁が業務マニュアルや手引の作成等を行っていると承知しており、これらの業務を所管する各府省庁とシステムを所管する総務省とが協力して取り組む必要があると考えている。 五について 「職員に将来に向けた経験を積ませるという視点も持つべきではないか」とのお尋ねについては、応援職員として派遣された職員が行う災害対応業務の経験については、当該職員の所属する地方公共団体で起こり得る災害への備えとしても有効であると考えており、派遣を実施した地方公共団体からも同様の指摘を頂いている。このような観点も踏まえつつ、地方公共団体に対し、災害マネジメント総括支援員等の推薦や、大規模災害時の応援職員の派遣を促しているところである。 六について 「政令指定都市以外の市町村職員においても支援員の登録がなされた方が望ましい」との御指摘については、災害マネジメント総括支援員の推薦の対象は、都道府県及び指定都市を基本とし、市(指定都市を除く。)区町村の職員も対象としている。 令和元年度末現在、千七百八十八の地方公共団体のうち、四十七都道府県、二十指定都市及び十二市町の計七十九団体の職員が、災害マネジメント総括支援員として総務省が管理する名簿に登録されている。 引き続き、全ての地方公共団体に対して災害マネジメント総括支援員の推薦を促してまいりたい。 七について 「平時より、同一地域ブロックの支援員同士で、定期的に意見交換や交流の機会を持ち、災害時の支援活動が円滑になされるよう努めるべきではないか」とのお尋ねについては、平時から、災害マネジメント総括支援員間の意見交換の機会を持つことが有益であると考えている。そのため、災害マネジメント総括支援員の候補者のための研修に、災害マネジメント総括支援員の参加も認めており、引き続き、災害マネジメント総括支援員等の防災関係者の交流機会の確保に努めてまいりたい。 |