質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第一五八号
  令和二年六月二十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員紙智子君提出新漁業法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出新漁業法に関する質問に対する答弁書

一について

 先の答弁書(令和元年十二月二十日内閣参質二〇〇第一一五号。以下「前回答弁書」という。)の一についてにおいて回答した昨年十月以降の約二十回の説明会の開催日(同日中に複数回の説明会を行った場合にあっては、開催日及びその回数)は、令和元年十月二十四日、同月二十九日、同月三十一日(二回)、同年十一月七日、同月八日(二回)、同月十四日(二回)、同月十五日、同月十九日(二回)、同月二十二日、同月二十六日、同月二十九日、同年十二月二日、同月三日(二回)及び同月五日である。
 なお、前回答弁書において回答したとおり、これらの説明会に参加した漁業協同組合及び海区漁業調整委員会については、網羅的に把握しておらず、また、これらの説明会の議事録は作成していない。

二の1及び2について

 漁業法等の一部を改正する等の法律(平成三十年法律第九十五号。以下「改正法」という。)による改正後の漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号。以下「新漁業法」という。)第六十四条第一項及び第二項の規定により、都道府県知事は、新たな漁業権を設定する場合を含め、海区漁場計画の案を作成しようとするときは、当該海区において漁業を営む者等の利害関係人の意見を聴き、かつ、当該意見について検討を加え、その結果を公表しなければならないこととされているところ、当該利害関係人には、漁業協同組合が含まれるものと解している。また、同条第四項の規定により、海区漁場計画の案を作成したときは、漁業者又は漁業従事者が委員の過半数を占める海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならないこととされている。これらの透明性の高い手続を経ることにより、いわゆる自由漁業や許可漁業を営む者等との調整を含む紛争の防止及び解決が図られるものと考えている。

二の3について

 御指摘の「以前のように国がめざす水産業の成長産業化を地方自治体に押しつけるものではないか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、新漁業法第六十三条第一項第一号の規定により、海区漁場計画において、漁業権は漁業調整その他公益に支障を及ぼさないように設定することとされていることを踏まえ、農林水産大臣が新漁業法第六十五条又は第六十六条の規定により海区漁場計画に関して必要な助言又は指示をするのは、例えば、養殖技術の向上により現在漁業権が設定されていない沖合において新たに漁業権を設定することができる可能性がある場合において、技術的な解決策や広域的な漁業調整の観点等について都道府県知事に対して助言又は指示をする必要があると認められる場合等を想定している。

二の4について

 海区漁場計画の満たすべき要件として、新漁業法第六十三条第一項において、適切かつ有効に活用されている既存の漁業権があるときは、当該漁業権とおおむね等しいと認められる漁業権が設定されていること等が挙げられており、かつ、海区漁場計画は、新漁業法第六十四条の規定により、二の1及び2についてにおいて回答した透明性の高い手続を経て作成されるため、御指摘のようになるとは考えていない。

三について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、改正法においては、許可漁業、漁業権等について十分な経過措置を講じており、また、水産庁としても、テレビ会議システム等を活用し、都道府県に対して、新漁業法に基づいて都道府県知事が行う漁業権の免許の運用に関する考え方等について説明を行っている。これを受けて、都道府県から漁業者及び漁業協同組合に対して、当該運用に関する考え方等について説明を行っているところであり、改正法の施行に向けて、現下の状況においても、漁業者及び漁業協同組合において、適切に対応が進められているものと考えている。

四について

 国立研究開発法人水産研究・教育機構(以下「機構」という。)は、研究開発を効果的・効率的に実施するための組織体制の導入等について検討するため、水産庁と共同で、「水産業の成長産業化を推進するための試験・研究等を効果的に実施するための国立研究開発法人水産研究・教育機構の研究体制のあり方に関する検討会」を四回にわたり開催し、広く研究者、漁業関係者及び漁業者団体の代表者等の意見を聴取したところであり、機構の再編は、同検討会の提言を踏まえ、実施されるものである。
 なお、放射性物質のモニタリングやサケの不漁原因の調査については水産資源研究所に、有明海を始めとした沿岸域の環境保全については水産技術研究所に引き継がれることとされているなど、継続的に行ってきた研究・調査を一方的に打ち切るものではないと承知している。