質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第一四八号
  令和二年六月二十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員浜田聡君提出獣医療関係者と飼い主との間のトラブルに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出獣医療関係者と飼い主との間のトラブルに関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、御指摘の「獣医師による医療過誤及び医療機関への訴訟」が「年々増え続けている」とは認識していないが、いずれにしても、飼育動物の診療上必要な獣医学並びに獣医師として必要な公衆衛生に関する知識及び技能について行う獣医師国家試験により、獣医師が行う獣医療について一定の水準は維持されているものと考えている。

二について

 個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)は、個人情報取扱事業者(同法第二条第五項に規定する個人情報取扱事業者をいう。以下同じ。)が、個人情報によって識別される特定の個人から、当該個人が識別される保有個人データ(同条第七項に規定する保有個人データをいう。以下同じ。)について、同法第二十八条第一項の規定による開示の請求を受けたときは、同条第二項ただし書に該当する場合を除き、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならないと規定している。
 お尋ねの獣医師が記載した診療簿については、当該獣医師が個人情報取扱事業者に該当し、当該診療簿に保有個人データが含まれる場合には、当該保有個人データの開示について、同条の規定を遵守して対応する必要があるものである。
 なお、獣医療における診療契約は、一般に準委任契約であると解されるところ、民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百五十六条において準用する同法第六百四十五条の規定に基づく委任者への報告の内容については、個別具体的な事情を踏まえて判断されるべきものであることから、同条の規定に基づく報告として獣医師が記載した診療簿の開示を求めることができるかどうかについて、一概にお答えすることは困難である。

三の1について

 お尋ねの小動物の獣医療に係る「獣医師の診療報酬」については、獣医師が診療を行う小動物の種類、当該小動物の疾病及び傷害等が多種多様であることに鑑みると、一定の基準を設けることは困難であると考えている。

三の2について

 政府としては、「獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針」(令和二年五月二十七日農林水産大臣決定)において、小動物の飼育者のニーズに適切に対応した獣医療を提供する観点から、「飼育者が獣医療の内容やその費用について理解した上で安心して獣医療を受けられるよう、獣医師の飼育者に対するインフォームドコンセントの徹底について啓発を図る」こととしている。
 なお、御指摘の「小動物医療の指針」においては、御指摘のように「獣医師は、飼育者の不信を招かないように診療料金表(診療項目によっては、その目安の金額)を待合室に掲示するとともに、診療明細書を発行する等、診療料金の透明性を確保しなければならない」ことが示されているほか、「予測できる範囲で、具体的な金額を提示する。また、確定的な診療料金を予測することが困難な場合には、飼育者等にその旨を説明して了解を得るとともに、おおよその金額を示す」こと等も示されており、こうした旨が公益社団法人日本獣医師会の会員に対して周知されているものと承知している。