質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第一二八号
  令和二年六月五日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員打越さく良君提出教育のオンライン化についての政府の認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員打越さく良君提出教育のオンライン化についての政府の認識に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねの「オンライン学習環境」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、地方公共団体における公立の小学校、中学校、高等学校等(以下「公立学校」という。)のICT環境の整備の状況については、文部科学省において、毎年度、「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」を行うことにより把握しており、例えば、平成三十一年三月時点における公立学校の教育用コンピュータの整備率は、児童生徒五・四人当たり一台となっている。
 また、同省においては、令和二年五月に、地方公共団体に対して、公立学校の児童生徒の家庭におけるICTを活用した学習環境の現況や各地方公共団体における公立学校のICT環境の整備の見込みに関する調査を行い、現在、その把握に努めているところである。
 さらに、専修学校高等課程(以下「専修学校」という。)についても、新型コロナウイルス感染症の拡大により対面授業の実施が困難な状況となったことを踏まえ、同省において、同月に、全国の専修学校に対して、遠隔授業の活用に関する調査を行い、現在、その実施状況等の把握に努めているところである。

三について

 お尋ねの「オンライン学習環境」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、お尋ねについては、様々な要因が考えられることから、一概にお答えすることは困難であるが、例えば、文部科学省が平成三十一年二月に地方公共団体に対して行った公立学校におけるICTを活用した教育の実態・意向等に関する調査の結果においては、各地方公共団体において公立学校のICT環境の整備が進まなかった理由として、他に優先している事項があること、何をどのような順で整備すべきか分からないこと等が挙げられていたところである。

四について

 お尋ねの「オンライン学習環境」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省においては、新型コロナウイルス感染症の拡大により対面授業の実施が困難な状況となったことを踏まえ、令和二年五月に、全国の大学及び高等専門学校に対して、遠隔授業の活用に関する調査を行い、現在、その実施状況等の把握に努めているところである。

五について

 政府としては、全ての中学校、高等学校等のICT環境が整備されることが重要であると考えており、これらの学校におけるICT環境の整備に対して所要の地方財政措置を講ずるとともに、令和元年度一般会計補正予算(第一号)及び令和二年度一般会計補正予算(第一号)において、これらの学校内の情報通信ネットワークの整備等に対する支援や、義務教育段階の児童生徒について、当該児童生徒が使用する情報端末の整備、通信環境が整っていない当該児童生徒の家庭に対する貸与を目的とした通信機器の整備等に対する支援を行うこととしている。

六について

 お尋ねの「国の責任」及び「オンライン学習環境」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、中学校、高等学校等における情報端末等の整備については、各地方公共団体等における調達のスケジュール等が様々であることから、一概にお答えすることは困難であるが、文部科学省においては、「新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受けた家庭での学習や校務継続のためのICTの積極的活用について」(令和二年四月二十三日付け文部科学省初等中等教育局情報教育・外国語教育課長事務連絡)等を発出し、地方公共団体等に対し、新型コロナウイルス感染症対策としての中学校、高等学校等の臨時休業中等の学習において、家庭や学校におけるICT環境を最大限に活用するよう依頼しているところである。
 また、同省においては、一及び二についてでお答えした公立学校の児童生徒の家庭におけるICTを活用した学習環境の現況や各地方公共団体における公立学校のICT環境の整備の見込みに関する調査の結果を踏まえ、企業等に対し、情報端末等の円滑な供給に向けた協力を依頼する予定である。

七について

 お尋ねの「受験生世代のオンライン学習」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、中学校、高等学校等におけるICT環境の整備に対する支援については、五についてでお答えしたとおりである。
 また、お尋ねの「受験」の「オンライン化」については、入学者選抜の実施者において判断されるべきものであるが、政府としては、文部科学省において、令和三年度大学入学者選抜について、「高等学校等の臨時休業の実施等に配慮した令和三年度大学入学者選抜における総合型選抜及び学校推薦型選抜の実施について(通知)」(令和二年五月十四日付け二文科高第百六十一号文部科学省高等教育局長通知)を発出し、総合型選抜及び学校推薦型選抜における配慮事項として、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に留意しつつ、「ICTを活用したオンラインによる個別面接やプレゼンテーション、大学の授業へのオンライン参加とレポートの作成、実技動画の提出」を取り入れた多様な選抜方法の工夫が考えられること等を示しているところである。
 さらに、お尋ねの「就職活動」の「オンライン化」については、採用活動を行う企業等において判断されるべきものであるが、政府としては、令和二年四月十日に、令和二年度の卒業・修了予定者の就職・採用活動等への特段の配慮として、一般社団法人日本経済団体連合会等に対し、多様な通信手段を活用した面接や試験を実施すること等に関する要請を行ったところである。