質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第一一七号
  令和二年五月二十九日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員打越さく良君提出新型コロナウイルスが出入国管理行政及び「収容・送還に関する専門部会」に与える影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員打越さく良君提出新型コロナウイルスが出入国管理行政及び「収容・送還に関する専門部会」に与える影響に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 退去強制令書の発付を受けた者は、原則として、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第五十二条第三項の規定により送還され、又は同条第四項の規定により自ら本邦を退去しなければならず、現時点においても、航空便の運行状況その他の事情を踏まえつつ、可能な限りこのような送還又は退去を促進しており、今後もこのような方針に基づいて対応してまいりたい。

三について

 お尋ねの「必要性の低い収容」の意味するところが必ずしも明らかではないが、出入国在留管理庁の収容施設における収容は入管法第三十九条第一項又は第五十二条第五項に規定する場合に行っており、また、収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている者の情状等を総合的に考慮した上で相当と認める場合には入管法第五十四条の規定によりその者を仮放免することができるところ、同庁においては、新型コロナウイルス感染症に関する現下の状況を踏まえた特別の対応として、特に仮放免を行うことが適当でないと認められる場合を除き、仮放免を積極的に活用しているところである。

四について

 令和元年十月末日時点で出入国在留管理庁の収容施設に収容されていた者の数は合計千二百四十一人(速報値)であり、その主な施設別の内訳(いずれも速報値)は、入国者収容所東日本入国管理センター二百六十五人、入国者収容所大村入国管理センター八十三人、東京出入国在留管理局四百五十三人、東京出入国在留管理局横浜支局百三十九人、名古屋出入国在留管理局二百七人、大阪出入国在留管理局八十五人などとなっている。
 また、令和二年四月末日時点で出入国在留管理庁の収容施設に収容されていた者の数は合計九百十四人(速報値)であり、その主な施設別の内訳(いずれも速報値)は、入国者収容所東日本入国管理センター二百二十四人、入国者収容所大村入国管理センター八十六人、東京出入国在留管理局二百八十人、東京出入国在留管理局横浜支局八十五人、名古屋出入国在留管理局百六十八人、大阪出入国在留管理局六十二人などとなっている。

五について

 お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

六の1について

 令和二年四月に収容令書又は退去強制令書による収容中に仮放免された者(収容された当日に仮放免された者を含む。)の数は、合計五百六十三人(速報値)であり、その主な施設別の内訳(いずれも速報値)は、入国者収容所東日本入国管理センター六十一人、入国者収容所大村入国管理センター八人、東京出入国在留管理局二百九十三人、東京出入国在留管理局横浜支局七十八人、名古屋出入国在留管理局八十二人、大阪出入国在留管理局三十六人などとなっている。
 その余のお尋ねについては、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

六の2について

 御指摘の「収容・送還に関する専門部会」(以下「専門部会」という。)においては、御指摘の「対策マニュアル」を資料として委員全員に送付し、出入国在留管理庁担当者からその概要等の説明を行った上で、議論を行っているところである。

七について

 仮放免を許可するか否かについては、従前から、御指摘の「我が国で罪を犯し刑事罰を科された者や退去強制処分歴又は仮放免取消歴を有する者」であるか否かを含め、収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている者の情状等を総合的に考慮した上で判断しており、このような判断の在り方は現在においても変わりはない。

八について

 平成三十一年三月一日から同年四月三十日までの二箇月間に難民認定申請(入管法第六十一条の二第一項に規定する難民の認定の申請をいう。以下同じ。)をした者の数は、千八百六十四人である。
 また、令和二年三月一日から同年四月三十日までの二箇月間に難民認定申請をした者の数は、現時点において確認できる範囲で、取り急ぎ集計したところ、九百六十八人である。

九について

 お尋ねの「現状に齟齬する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、出入国在留管理庁においては、専門部会の議論の状況を踏まえ、可能な限り、最新の統計その他の関係資料の提供を行ってきているところである。

十について

 お尋ねの「「収容・送還に関する専門部会」の設置の趣旨が前提としていた環境は、現在では既に存在しない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、専門部会は、送還忌避者の増加や収容の長期化を防止するための方策を検討する目的で設置されたものであるところ、このような検討を行う必要性は現在においても変わりはないと考えている。