質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書



内閣参質二〇一第七五号
  令和二年三月二十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員吉田忠智君提出コンセッション事業と指定管理者制度、独立行政法人制度等との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉田忠智君提出コンセッション事業と指定管理者制度、独立行政法人制度等との関係に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「コンセッション事業者が、その管理事業の一部を指定管理者に委託することにより混乱が生じる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号。以下「PFI法」という。)第九条第四号に規定する公共施設等運営権者(以下「コンセッション事業者」という。)は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十四条の二第三項に規定する「普通地方公共団体」には該当せず、同項に基づき指定管理者を指定することはできない。なお、政府においては、PFI法第二条第六項に規定する公共施設等運営事業(以下「コンセッション事業」という。)の業務の一部を第三者に委託することはPFI法上妨げられず、PFI法第二十二条第一項に規定する公共施設等運営権実施契約に基づき、コンセッション事業者において、当該委託された業務も含めて適切にコンセッション事業が実施されることになるものと考えている。

二について

 御指摘の「派遣された公務員の退職の度に指定管理者が独自に採用する(プロパー)社員で埋めるという変則的な状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、指定管理者制度は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため適切な法人その他の団体を、議会の議決を経て指定するものであり、それぞれの地方公共団体において、適切な法人その他の団体を指定することにより、御指摘の行政サービスの統一性が保たれるものと考えている。

三について

 PFI法第七十九条第一項に規定する地方派遣職員の派遣先における「労働条件の変更」については、先の答弁書(令和二年三月六日内閣参質二〇一第五八号。以下「前回答弁書」という。)一について及び二についてでお答えしたとおりである。

四について

 御指摘の「曖昧さ」及び「プロパー・・・に徐々に入れ替わるという状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、指定管理者制度においては、指定された法人その他の団体における従業員等の労使関係については、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)その他の関係法令の規定を踏まえ、当該法人その他の団体において適切に定めるものである。また、コンセッション事業においても同様に、コンセッション事業者において適切に定めるものであり、PFI法第七十九条第一項に規定する地方派遣職員の派遣先における労働条件等については、前回答弁書一についてでお答えしたとおりである。

五について

 御指摘の「曖昧さ」及び「問題が整理されないまま今日に至っている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、指定管理者制度では、指定管理者が地方自治法第二百四十四条の二第一項に規定する公の施設の管理を行い、行政処分に当たる使用許可を行うことができることとされている一方、コンセッション事業では、利用料金の徴収を行う公共施設等の運営権を民間事業者に設定し、運営権対価を得ることができるが、運営権には公共施設等の利用に係る処分の権限は含まれないといった制度の違いがあり、地方公共団体においては、それぞれの制度の趣旨や地域の実情等を踏まえ、これらの制度を活用しているものと考えている。

六について

 お尋ねの「体系だった制度・システム」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般地方独立行政法人の職員については、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)上、給与等の支給の基準の策定に当たって考慮すべき事項について定めた同法第五十七条等の規定が設けられており、その上で、その労働条件については、基本的に移行後の一般地方独立行政法人の労働組合と使用者である法人との間の交渉を経た上で締結される労働協約に基づき定められるものである。また、御指摘の「コンセッション事業の導入に伴う非公務員化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、PFI法第七十九条第一項に規定する地方派遣職員の派遣先における「労働条件あるいは労使関係」の変更については、前回答弁書一について及び二についてでお答えしたとおりである。