質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第七二号
  令和二年三月十九日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員小沼巧君提出系統利用者である発電側にキロワット単位で基本料金の負担を求める発電側基本料金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小沼巧君提出系統利用者である発電側にキロワット単位で基本料金の負担を求める発電側基本料金に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「法的プロセス」の意味するところが必ずしも明らかではないが、発電側基本料金については、平成三十年六月に電力・ガス取引監視等委員会から経済産業大臣に対して発電側基本料金の導入等を内容とする電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第六十六条の十四第一項に基づく建議が行われ、当該建議を踏まえ、同年七月に閣議決定されたエネルギー政策基本法(平成十四年法律第七十一号)第十二条第一項に規定するエネルギー基本計画において、導入することとされたものである。

二について

 電力・ガス取引監視等委員会に設置された送配電網の維持・運用費用の負担の在り方検討ワーキング・グループが平成三十年六月に取りまとめた中間とりまとめ(以下「中間とりまとめ」という。)については、パブリックコメントを実施し、御指摘の「需要家」を含め、広く国民から意見を募集した上で、取りまとめられたものである。

三、八及び十一について

 発電側基本料金に係る制度の詳細については、電力・ガス取引監視等委員会に設置された制度設計専門会合において検討を行っているところであり、予見に基づいた指摘についてお答えすることは差し控えたい。

四について

 発電側基本料金については、平成二十七年十月以来電力・ガス取引監視等委員会に設置された制度設計専門会合等において検討を重ねた上で導入することとされたものであり、その上で、その導入時期を始めとした制度の詳細については、現在、同会合において、消費者団体及び再生可能エネルギー発電事業者の団体から委員又はオブザーバーの参加を得て、検討を行っているところである。

五について

 御指摘の「キロワット単位で課金する」場合、発電設備の設置者には、発電量に関わりなく一定額の負担が生じるため、蓄電池を活用すること等により当該発電設備の設備利用率を向上させることで、発電量当たりの費用を低減させるインセンティブが生じるものと考えている。
 また、お尋ねの「発電側基本料金以外の手法」としては、既存の発電設備が稼働していない時に新規の発電設備による送電を認める取組を進めており、これは、発電側基本料金と同様に、御指摘の「電源起因による送配電関連費用の抑制を図る手法」として効果があると考えている。

六について

 発電側基本料金の導入の検討に際しては、諸外国における制度の現状と考え方の調査を行い、欧州各国のエネルギー規制当局で構成される組織において、送配電設備に関する費用を回収する方法としてキロワット時単位の発電側基本料金を採用すべきではない旨の考え方が示されていること等を踏まえ、キロワット単位での発電側基本料金を導入することとしたものである。

七について

 御指摘の「キロワットアワー単位での料金体系」とすることも技術的に可能であると考えているが、中間とりまとめにおいて「電源起因による送配電関連費用の増大を抑制するためには、電源の設備利用率の向上等を通じて送配電網のより効率的な利用を促すことが重要であることに加え、送配電関連設備は、基本的に電源の最大逆潮(最大受電電力)を踏まえて整備されることから、キロワット単位の基本料金(発電側基本料金)として課金する」とされていることを踏まえ、御指摘の「キロワット単位での費用負担」による発電側基本料金を導入することとしたものである。

九について

 お尋ねの「既存電力系統及び新規電力系統に係る運営費用及び資本的支出」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成三十年度における一般送配電事業者の変電費、送電費及び配電費の合計額は約二兆七千三百五十二億円であり、同年度における一般送配電事業者の変電所、送電線路、配電線路及び給電設備その他の送配電設備に係る設備投資の額は約九千七百四十九億円である。

十について

 お尋ねの「電力系統の整備に対」する「予算措置」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、政府としては、風力発電の適地において送電設備を最大限活用するための技術実証等を行うための予算措置を講じてきたところである。
 しかしながら、我が国における送配電設備の整備は、民間企業である一般送配電事業者及び送電事業者がこれを行い、その費用は、送配電に係る料金で賄われることが原則であると考えている。

十二について

 御指摘の「低圧部門から低圧部門へ託送が行われる場合」であっても、御指摘の「低圧部門」に接続する発電設備が安定的に電気を供給するためには、御指摘の「上位系統」と接続することが必要であることから、御指摘の「上位系統」に係る費用を含めて発電側基本料金による負担を求めることが適当と考えている。