質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


答弁書第六〇号

内閣参質二〇一第六〇号
  令和二年三月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員白眞勲君提出中東地域における日本関係船舶の防護と国際法上の旗国主義に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員白眞勲君提出中東地域における日本関係船舶の防護と国際法上の旗国主義に関する質問に対する答弁書

一について

 ある船舶が「中東地域における日本関係船舶の安全確保に関する政府の取組について」(令和元年十二月二十七日閣議決定。以下「本閣議決定」という。)にいう「日本人が乗船する外国籍船」に該当するか否かについては、その文言のとおり、当該船舶に日本人が乗船しているか否かによって判断することとしており、乗船している日本人の多寡によって判断を異にすべきものではないと考えている。

二について

 ある船舶が本閣議決定にいう「我が国の積荷を輸送している外国籍船であって我が国国民の安定的な経済活動にとって重要な船舶」に該当するか否かについては、一般に、当該船舶が輸送している我が国の積荷の内訳等を踏まえつつ、個別具体的な状況に応じて判断する必要があると考えているところであり、御指摘のように「当該外国籍船が輸送する全ての積荷が我が国を仕向地とするものでなければならない」等の基準を設けているものではない。
 その上で、原油等のエネルギー資源を積荷として我が国に輸送する外国籍船については、これらの積荷が我が国国民の安定的な経済活動にとって重要であることを踏まえ、基本的には、本閣議決定にいう「我が国の積荷を輸送している外国籍船であって我が国国民の安定的な経済活動にとって重要な船舶」に該当し得るものと考えているところである。

三から五までについて

 公海上の船舶については、海洋法に関する国際連合条約(平成八年条約第六号)第九十二条1において「船舶は、一の国のみの旗を掲げて航行するものとし、・・・公海においてその国の排他的管轄権に服する」と規定されているなど、一般的には当該船舶の旗国が排他的管轄権を有するとの「旗国主義」の考えが国際法上確立されている。
 このため、本閣議決定にいう「日本関係船舶」に該当する公海上の外国籍船の防護に当たっても、こうした「旗国主義」の考えに基づいて対処することを基本とすべきものと考えているが、いずれにせよ、自衛隊がこれらの船舶の防護に際して、実力の行使を伴わない措置を含め、具体的にいかなる措置をとることが可能であるかについては、個別具体的な状況に応じて判断する必要があると考えている。
 なお、一般に、公海上の外国籍船の旗国の同意があれば、当該旗国以外の第三国が、当該外国籍船への武力攻撃に至らない侵害を排除するために、当該侵害を行う船舶に対して、実力を行使することが可能となるといった考え方が国際法上確立されているとは、承知していない。