質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第五九号
  令和二年三月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員吉田忠智君提出コンセッション事業と自治行政のあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉田忠智君提出コンセッション事業と自治行政のあり方に関する質問に対する答弁書

一について

 「管理者である公務員のモニタリングの能力も落ちる問題をどうするのか」及び「責任の所在が曖昧になることによって、事故が起きる確率が高くなるのではないか」とのお尋ねについては、地方公共団体の職員が効果的かつ効率的にモニタリングを行い、地方公共団体が所有権を有する公共施設等における民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号。以下「PFI法」という。)第二条第六項に規定する公共施設等運営事業(以下「コンセッション事業」という。)の適正かつ確実な実施が確保されるよう、先の答弁書(令和元年十一月十九日内閣参質二〇〇第五二号)五についてでお答えしたとおり、既存のモニタリングに関するガイドラインにおける規定事項に加えて、コンセッション事業において留意する事項を示した「公共施設等運営権及び公共施設等運営事業に関するガイドライン」(平成三十年十月十八日民間資金等活用事業推進会議決定)において、地方公共団体が自ら行うモニタリングを補完するため、「第三者である専門家を活用したモニタリングを併せて行うこと」、官民間のリスク分担について、責任の所在が明確になるよう、「実施契約は、・・・できる限りあいまいさを避け、具体的かつ明確なものとする」こと等を示しており、コンセッション事業を実施する各地方公共団体においては、当該コンセッション事業について、同条第七項に規定する公共施設等運営権の設定後も、これらのガイドライン等を踏まえて、モニタリングを行うために職員の配置を含めて必要な体制を構築することになると考えており、政府としては、引き続き、これらのガイドラインについて、地方公共団体の職員に対して説明・周知してまいりたい。

二について

 御指摘の「河川敷でもすでにカフェ等を設置している自治体が全国にあるという実態」の意味するところが必ずしも明らかではないが、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第二十四条に基づく河川管理者の土地の占用の許可(以下「占用許可」という。)を受けた民間事業者又は占用許可を受けた地方公共団体等と使用契約を締結した民間事業者が河川敷にオープンカフェ等を設置している事例は承知している。また、コンセッション事業は、PFI法第二条第六項において、「公共施設等の管理者等が所有権・・・を有する公共施設等(利用料金(公共施設等の利用に係る料金をいう。以下同じ。)を徴収するものに限る。)について、運営等・・・を行い、利用料金を自らの収入として収受するものをいう」とされており、利用料金を徴収しない公共施設等に御指摘のような「コンビニ」、「カフェ」等の「収益施設」を設置したとしても、コンセッション事業の対象とならない。

三について

 御指摘の「関係台帳」の意味するところが必ずしも明らかではないが、水道施設台帳については、平成二十八年十二月時点において、水道事業者等が水道施設台帳を整備している割合は約六十一パーセントとなっていたところ、平成三十年に水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)を改正し、令和四年十月一日から、水道事業者等は、水道施設の適切な管理のため水道施設台帳を作成し、これを保管しなければならないこととしたところである。また、道路台帳については、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二十八条第一項の規定に基づき、道路管理者は、その管理する道路台帳を調製し、これを保管しなければならないこととされているが、一部の地方公共団体において、道路台帳の記載が十分ではなかったことから、道路台帳の記載の周知徹底を図っているところである。

四について

 お尋ねの「文化・体育施設」及びMICE施設に係るコンセッション事業の導入については、御指摘の「中小の施設」も含め、政府として、引き続き、具体の案件形成が行われるよう、地方公共団体等の取組を支援してまいりたい。

五について

 お尋ねの「他の方法も含めた基本的な方針」の意味するところが必ずしも明らかではなく、「公立動物園」における「獣舎の移設や大幅な改築等」の事業に係る方針については、各地方公共団体において適切に検討されるべきものであるが、政府において、コンセッション事業について、動物園を含む文教施設の特徴を踏まえながら、具体的な検討事項を解説した「文教施設におけるコンセッション事業に関する導入の手引き」(平成三十年三月文部科学省)を作成し、地方公共団体に対して周知を行っているところである。