質問主意書

第201回国会(常会)

答弁書


内閣参質二〇一第五一号
  令和二年三月三日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員那谷屋正義君提出ソ連国内法によって有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員那谷屋正義君提出ソ連国内法によって有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者に関する再質問に対する答弁書

一及び六について

 お尋ねの「ソ連の国内法によって訴追され、有期刑・死刑に処せられた戦後強制抑留者の方々」及び「ソ連において訴追され、判決を受けて、のちに「名誉回復」されている方々」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、政府としては、いわゆるシベリア抑留は、人道上問題であるのみならず、当時の国際法に照らしても問題のある行為であったと認識している。

二及び三について

 お尋ねについては、調査に膨大な時間を要することから、お答えすることは困難であるが、ロシア連邦政府等から提供された抑留中死亡者に関する資料のうち、裁判記録として取得しているものは、令和二年一月末時点で、四百五十五人分である。

四について

 お尋ねの「元受刑者」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省においては、判決日や判決内容等の裁判に関する情報や「名誉回復」の年月日が記載されている資料を含め、ロシア連邦政府等から抑留中死亡者に関する資料の提供を受け、当該資料と同省が保管する人事関係資料等との照合等により、抑留中死亡者の身元特定を行い、抑留中死亡者の遺族が判明した際にはその遺族に対して同国政府等から得られた情報をお知らせしてきている。後段のお尋ねについては、調査に膨大な時間を要することから、お答えすることは困難である。

五について

 お尋ねの「名誉回復証」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

七について

 お尋ねの「ソ連の国家犯罪と人権侵害の被害者」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、抑留中死亡者の身元特定を行い、抑留中死亡者の遺族が判明した際にはその遺族に対してロシア連邦政府等から得られた情報をお知らせする等、戦後強制抑留者に係る問題に関する特別措置法(平成二十二年法律第四十五号。以下「法」という。)第十三条第一項に規定する強制抑留の実態調査等に係る取組等を行ってきたところである。

八について

 お尋ねの「名誉回復証」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いわゆるシベリア抑留については、平成五年に来日したエリツィン・ロシア連邦大統領(当時)から、「ロシア政府、国民を代表して、この非人間的な行為に対して謝罪の意を表明する」との発言があったところである。

九について

 お尋ねの「ソ連において訴追され、判決を受けて、のちに「名誉回復」された戦後強制抑留者の方々」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、政府としては、法第十三条第一項の規定に基づき策定した「強制抑留の実態調査等に関する基本的な方針」(平成二十三年八月五日閣議決定)に基づき、戦後強制抑留者の労苦の国民の理解及び後代の国民への継承並びに抑留中死亡者の追悼のための取組を行ってきたところである。