質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一九四号

陸上配備型イージス・システムの配備に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年六月十七日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   陸上配備型イージス・システムの配備に関する質問主意書

 令和二年六月十五日、河野防衛大臣は、秋田県及び山口県への陸上配備型イージス・システム(以下「イージス・アショア」という。)の配備に関するプロセスを停止することを表明した。
 以下、イージス・アショアの配備に関するプロセスの停止について質問する。

一 今般、イージス・アショアの配備に関するプロセスの停止を決定した理由及び、決定に至るまでの経緯について説明されたい。

二 防衛省ウェブサイトに掲載されている「イージス・アショアの配備について」(以下「防衛省資料」という。)においては、「イージス・アショアの配備に関するプロセスを停止する」とされているが、これは、イージス・アショアの導入そのものを撤回するということではないのか。防衛省資料においては、「今後の対応については、(中略)国家安全保障会議に今般の状況を報告の上、その議論を踏まえて検討」するとされているが、今後、配備に向けたプロセスが再開されることはあるのか。

三 防衛省資料によると、イージス・アショアから発射される迎撃ミサイルのブースターを「演習場内又は海上に確実に落下させるためには、ソフトウェアのみならず、ハードウェアを含め、システム全体の大幅な改修が必要となり、相当のコストと期間を要することが判明した」とのことであるが、この問題を防衛省として認識したのは「本年五月下旬」なのか。そうである場合、防衛省はこれまで地元住民等に対し、技術的にどのような改修が必要となるのかという点を十分に認識しないまま、安全であるとの説明を行ってきたことになるが、極めてずさんな対応ではないか。

四 防衛省資料においては、「防衛省として、地元の皆様にお詫びとご説明を申し上げ」とあるが、これは、河野防衛大臣が秋田県及び山口県を訪問し、直接謝罪するということか。

五 防衛省のこれまでの説明によれば「イージス・アショアは弾道ミサイルの脅威から我が国全域を防護するために必要不可欠な装備品である」とのことだが、イージス・アショアの配備に関するプロセスを停止するということは、防衛省として、イージス・アショアは、我が国の防衛上、必要でないという認識に改めたのか。

六 政府は、「北朝鮮の核・ミサイル開発は、我が国の安全に対する、より重大かつ差し迫った新たな段階の脅威となっており、平素から我が国を常時・持続的に防護できるよう弾道ミサイル防衛能力の抜本的な向上を図る必要がある。」(平成二十九年十二月閣議決定)として、イージス・アショア二基の導入を決定したものと承知しているが、「北朝鮮の核・ミサイル開発は、我が国の安全に対する、より重大かつ差し迫った新たな段階の脅威となって」いるとの認識を改めたのか。改めたのであればその理由を示されたい。改めていないのであれば、今後どのように「平素から我が国を常時・持続的に防護できるよう弾道ミサイル防衛能力の抜本的な向上を図る」のか。イージス艦の増勢や、終末段階高高度地域防衛(THAAD)の導入等、代替策を検討しているのか、具体的に示されたい。

七 「平成三十一年度以降に係る防衛計画の大綱」においては、陸上自衛隊が二個弾道ミサイル防衛隊を保持することとされており、また、「中期防衛力整備計画(平成三十一年度~平成三十五年度)」においては、イージス・アショア二基を整備することとされているが、イージス・アショアの配備に関するプロセスの停止によって、「平成三十一年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画(平成三十一年度~平成三十五年度)」の見直しや変更を行うのか。

八 これまでの各年度予算における、イージス・アショア関連の各事業の内容及び計上額を示されたい。また、それらのうち、既に契約がなされたもの、支出がなされたものについて、その額及び相手先をそれぞれ示した上で、それらについて今後どのような措置をとるのか、明らかにされたい。

九 防衛省資料によると、「SM―三の飛翔経路をコントロールし、演習場内又は海上に確実に落下させるためには、ソフトウェアのみならず、ハードウェアを含め、システム全体の大幅な改修が必要となり、相当のコストと期間を要する」とされているが、どの程度の「コストと期間」を要するのか、具体的に明示されたい。

  右質問する。