質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一九二号

新型コロナウイルス感染症の新型インフルエンザ等特措法への適用が法改正に拠らなくとも可能であると解されることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年六月十七日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   新型コロナウイルス感染症の新型インフルエンザ等特措法への適用が法改正に拠らなくとも可能であると解されることに関する質問主意書

一 政府は、「新感染症というのは、原因不明だということが一つ前提となっており、今回の新型コロナウイルス感染症は、原因となる病原体が特定されていることなどから、新感染症には該当せず、新型インフルエンザ等特措法の適用は困難である」としている。しかし、感染症法第六条第九項によれば、「新感染症」とは、「人から人に伝染すると認められる疾病であって、既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもので、当該疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう」とされている。すなわち、条文上は、「既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもの」と規定されており、原因となる病原体が特定されているかどうかを基準としているわけではない。
 故に、新型コロナウイルス感染症については、単にコロナウイルスの一種だということが分かっただけであり、いまだ感染力や潜伏期間、毒性、治療方法など未知な部分が多く、既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるものとして、新感染症に該当し、法改正に拠らなくとも新型インフルエンザ等特措法を適用することができたのではないか。政府の見解を示されたい。

二 新型インフルエンザ等特措法の逐条解説においては、新感染症について、「人類にとって未知の疾病であり」、「原因が究明されるまでの間」といった記述があるが、前述の通り、新型コロナウイルスということ以外は実質的には「未知の疾病」と言える。そして、新型コロナウイルスに「病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれ」が認められる以上、本法にある休業自粛要請等の措置の発動も法的正統性が認められるのではないか。政府の見解を示されたい。

三 なぜ、政府はもっと早い時期に新型インフルエンザ等特措法の改正案を国会提出しなかったのか。法改正が遅滞し、本法による対策が遅滞したことに政府の責任はないか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。