質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一八三号

検察庁法改正案が東京高等検察庁検事長の勤務延長の解釈変更と因果関係的にも法的に一体である「黒川法案」というべき法の支配を破壊する暴挙であることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年六月十七日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   検察庁法改正案が東京高等検察庁検事長の勤務延長の解釈変更と因果関係的にも法的に一体である「黒川法案」というべき法の支配を破壊する暴挙であることに関する質問主意書

一 政府が今国会に提出した国家公務員法等の一部を改正する法律案のうち検察庁法の一部改正部分(以下「検察庁法改正案」という。)について、昨年の段階で、内閣法制局の担当部長(第二部長)の審査が終了したのはいつか。また、その際には検察官の役降り特例、勤務延長の条文は存在していたか。

二 法務省は「法務省においては、検察庁法の改正を含む法律案の提出に至らず、本年の通常国会への提出までに時間ができたことから、令和元年十二月頃から、改めて、法律案において、勤務延長制度や再任用制度をどのように取り扱うかを考える前提として、現行の国家公務員法と検察庁法との関係を検討していた。すなわち、検察官に勤務延長は適用されないとの従前の解釈を維持するのが果たして妥当かという観点に立ち戻って、検討・作業等を行った。」との見解を示しているが、内閣法制局の担当部長の審査が終了し、内閣法制局長官に審査資料が届けられている法律案について、その法律案にはない勤務延長制度や再任用制度について、「時間ができたことから、令和元年十二月頃から、改めて、法律案において、勤務延長制度や再任用制度をどのように取り扱うかを考える前提として、現行の国家公務員法と検察庁法との関係を検討していた。」などと主張するのは、余りにも見え透いた虚偽を語るものであり、検察官出身の幹部官僚らの所業として情けなさ過ぎるものではないか。また、虚偽を語るにしても、なぜ、もう少しまともな嘘を付けないのかについて政府の見解を示されたい。

三 「すなわち、検察官に勤務延長は適用されないとの従前の解釈を維持するのが果たして妥当かという観点に立ち戻って、検討・作業等を行った。」との見解について、なぜ、昨年の担当部長の法案審査が終了するまでにこうした観点に立ち戻って検討・作業等を行うことができなかったのか、その理由について具体的に示されたい。

四 省庁が内閣法制局の担当部長審査を終了し長官審査に入っている法律案について内閣法制局に告げることもなく、当該法律案では措置されていない政策を実施するためにそれに係る新規の条文案を検討し、法律案の変更を求めるなど前代未聞の事件であり、検察庁法改正案に措置された検察官の勤務延長に係る条文は、黒川東京高等検察庁検事長のための解釈変更と後付けで整合性を取るための立法事実なき暴挙ではないか。政府の見解を示されたい。

五 検察庁法改正案は、「定年により退職するという規範そのものは、検察官であっても一般法たる国家公務員法によっているというべきである」との旨の法令解釈に基づき作成されているものと理解してよいか。

六 検察庁法改正案において、検察官にも勤務延長が適用されるという解釈に基づいて設けられている条文と制度(附則における現行法で勤務延長した者の法律施行後の扱い、検察庁法二十二条の国家公務員法の読み替えで措置している勤務延長制度などが該当すると思料するところではある)を示されたい。

七 検察庁法改正案は検察官に勤務延長制度が適用できるという違法無効な解釈に基づくものであり、かつ、立法事実のない勤務延長制度等を措置したものであり、これを国会で審議し、法律として成立させることは、我が国の法の支配の破壊となるのではないか。政府の見解を示されたい。

八 政府は、検察庁法改正案は法律として成立させる必要があるものと考えているのか。政府において、今後の国会において検察庁法改正案を撤回する意思はないか。また、検察庁法改正案の審議を求めない意思はないか。

  右質問する。