質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一七九号

検察庁法上に勤務延長の規定がないから検察官に勤務延長が適用可能との政府の主張が違法な三百代言であることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年六月十七日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   検察庁法上に勤務延長の規定がないから検察官に勤務延長が適用可能との政府の主張が違法な三百代言であることに関する質問主意書

 森法務大臣は、検察官への勤務延長制度の適用が合法であるとする解釈が合法であることの根拠の一つとして、令和二年五月二十二日の衆議院法務委員会において「所管省庁である法務省が検察法上の解釈を検討したところ、まず、検察庁法の上に勤務延長の規定はございません。」と述べている。これに関し、以下質問する。

一 国家公務員法第八十一条の二の「法律に別段の定めのある場合を除き」の規定の趣旨について法改正で当該規定が定められた昭和五十六年当時の政府の見解を示すとともに、当該趣旨において検察官への勤務延長制度の適用が合法であったか否か(法的に許容されていたか否か)についての現在の政府の見解を示されたい。

二 一般職の国家公務員の定年制度を創設した際の国会審議用に作成された「国家公務員法の一部を改正する法律案(定年制度)想定問答集」(昭和五十五年十月総理府人事局)における、「問四十六」の「今回の定年制度法案は、現在法律により定年が定められている職員については、それぞれの法律によることとして、適用対象から外すという考え方を採っているので、「法律には別段の定めのある場合を除き」と規定している。具体例としては、検察官(検察庁法第二十二条により定年が定められている。)・・・がある。」との答え及び「問四十七」の「定年、・・・勤務の延長・・・の制度の適用は除外される」との答えからすると、検察庁法の上に勤務延長の規定がないのは当たり前のことではないか。政府の見解を示されたい。

三 昭和五十六年の国会審議において政府参考人より「検察官と大学教官につきましては、現在すでに定年が定められております。今回の法案では、別に法律で定められておる者を除き、こういうことになっておりますので、今回の定年制は適用されないことになっております。」と答弁され、当該答弁の趣旨について国家公務員法を所管する人事院の政府参考人は令和二年二月十二日の衆議院予算委員会において「人事院といたしましては、国家公務員法に定年制を導入した際は、議員御指摘の昭和五十六年四月二十八日の答弁のとおり、検察官については、国家公務員法の勤務延長を含む定年制は検察庁法により適用除外されていると理解していたものと認識をしております。」と答弁しているのであるから、検察庁法の上に勤務延長の規定がないのは当たり前のことではないか。政府の見解を示されたい。

四 検察官には勤務延長制度を含む定年制度は適用除外するために明記された国家公務員法第八十一条の二の「法律に別段の定めのある場合を除き」の規定によって検察庁法上に「勤務延長の規定」がないことは法的に至極当然のことであり、それをもって、検察官への勤務延長制度の適用が合法である旨の主張を展開するのは、法令解釈ですらない、閣僚及び検察官出身の法務官僚らによる法律の強奪行為たる空前絶後の不正行為そのものではないか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。