質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一七八号

検察官には勤務延長制度が不適用である旨を直接的に述べた国会答弁が存在しないという政府の主張が違法な三百代言であることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年六月十七日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   検察官には勤務延長制度が不適用である旨を直接的に述べた国会答弁が存在しないという政府の主張が違法な三百代言であることに関する質問主意書

一 政府は、一般職の国家公務員の定年制度を創設した際の国会審議用に作成された「国家公務員法の一部を改正する法律案(定年制度)想定問答集」(昭和五十五年十月総理府人事局。以下「想定問答集」という。)に記載されている想定問答に関して、一般職の国家公務員の定年制度が創設された昭和五十六年の国会審議における政府答弁「検察官と大学教官につきましては、現在すでに定年が定められております。今回の法案では、別に法律で定められておる者を除き、こういうことになっておりますので、今回の定年制は適用されないことになっております。」の基となった想定問答は「問」の番号で何番の想定問答であると理解しているか。

二 森法務大臣は、昭和五十六年の国会審議における政府答弁で「検察官と大学教官につきましては、現在すでに定年が定められております。今回の法案では、別に法律で定められておる者を除き、こういうことになっておりますので、今回の定年制は適用されないことになっております。」について、令和二年五月二十五日の参議院決算委員会において「検事の勤務延長についての国会答弁は、必ずしも立法当時はダイレクトに答弁したものはないと承知をしております。」と述べているが、国家公務員法を所管する人事院の政府参考人は令和二年二月十二日の衆議院予算委員会において「人事院といたしましては、国家公務員法に定年制を導入した際は、議員御指摘の昭和五十六年四月二十八日の答弁のとおり、検察官については、国家公務員法の勤務延長を含む定年制は検察庁法により適用除外されていると理解していたものと認識をしております。」と答弁しており、森法務大臣の「検事の勤務延長についての国会答弁は、必ずしも立法当時はダイレクトに答弁したものはないと承知をしております。」との主張は虚偽答弁ではないか。

三 一般職の国家公務員の定年制度が創設された昭和五十六年の国会審議における政府答弁「検察官と大学教官につきましては、現在すでに定年が定められております。今回の法案では、別に法律で定められておる者を除き、こういうことになっておりますので、今回の定年制は適用されないことになっております。」の基となった想定問答集の想定問答は、「今回の定年制度法案は、現在法律により定年が定められている職員については、それぞれの法律によることとして、適用対象から外すという考え方を採っているので、「法律には別段の定めのある場合を除き」と規定している。具体例としては、検察官(検察庁法第二十二条により定年が定められている。)・・・がある。」との答えが記載されている「問四十六」及び「定年、・・・勤務の延長・・・の制度の適用は除外される」との答えが記載されている「問四十七」であることは明々白々であり、森大臣の令和二年五月二十五日の参議院決算委員会における「検事の勤務延長についての国会答弁は、必ずしも立法当時はダイレクトに答弁したものはないと承知をしております。想定問答集がございますが、国会議事録への答弁がダイレクトなものはないと承知をしております。」との答弁は唯一の立法機関である国会の立法権を侵害する暴挙ではないか。

四 前記一から三について、政府は検察官への勤務延長制度の適用は「解釈変更」によるものと主張しているが、このようなものは法令解釈ですらなく、閣僚及び検察官出身の法務官僚らによる法律の強奪行為たる空前絶後の不正行為そのものではないか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。