質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一七六号

検察官への勤務延長制度の適用が国家公務員法第八十一条の二の「法律に別段の定めのある場合を除き」の規定に違反する違法無効の暴挙であることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年六月十七日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   検察官への勤務延長制度の適用が国家公務員法第八十一条の二の「法律に別段の定めのある場合を除き」の規定に違反する違法無効の暴挙であることに関する質問主意書

一 一般職の国家公務員の定年制度を創設した際の国会審議用に作成された「国家公務員法の一部を改正する法律案(定年制度)想定問答集」(昭和五十五年十月総理府人事局。以下「想定問答集」という。)に記載の内容は、当該審議当時(昭和五十六年当時)の政府の統一見解であると理解してよいか。

二 想定問答集の「問四十六」において、国家公務員法第八十一条の二の「法律に別段の定めのある場合を除き」との規定の趣旨に関し、「「法律に別段の定めのある場合を除き」としている理由及び具体例いかん」という質問に対して「今回の定年制度法案は、現在法律により定年が定められている職員については、それぞれの法律によることとして、適用対象から外すという考え方を採っているので、「法律には別段の定めのある場合を除き」と規定している。具体例としては、検察官(検察庁法第二十二条により定年が定められている。)・・・がある。」との答えが記載されているのであるから、「法律に別段の定めのある場合を除き」の規定は検察官を勤務延長制度を含む国家公務員法の定年制度から除外するものであるのではないか。政府の見解を示されたい。

三 前記二において、「法律に別段の定めのある場合を除き」の規定により「適用対象から外」されている「職員」である検察官が解釈によって勤務延長制度を適用できるとする政府の見解は国家公務員法第八十一条の二という法律を蹂躙する違法無効の暴挙ではないか。

四 想定問答集の「問四十七」においては、「検察官、大学の教員については、年齢のみ特例を認めたのか。それとも全く今回の定年制度からはずしたのか。」という質問に対して「定年、特例定年、勤務の延長および再任用の制度の適用は除外されることとなる」との答えが記載されているにもかかわらず、なぜ、国家公務員法に基づいて検察官の勤務延長ができると考えるのか。その法的根拠を示されたい。

五 前記四において、「定年、・・・勤務の延長・・・の制度の適用は除外される」と明記されている検察官が解釈によって勤務延長制度を適用できるとする政府の見解は国家公務員法第八十一条の二という法律を蹂躙する違法無効の暴挙ではないか。

六 想定問答集の「問四十六」の「今回の定年制度法案は、現在法律により定年が定められている職員については、それぞれの法律によることとして、適用対象から外すという考え方を採っているので、「法律には別段の定めのある場合を除き」と規定している。具体例としては、検察官(検察庁法第二十二条により定年が定められている。)・・・がある。」との答え及び「問四十七」の「定年、・・・勤務の延長・・・の制度の適用は除外される」との答えからすると、検察官においては「定年により退職するという規範そのもの」は国家公務員法第八十一条の二の規範の適用はなく、検察庁法第二十二条の規範の適用のみがあると解する他ないのではないか。政府が国家公務員法第八十一条の二の「定年により退職するという規範そのもの」が検察官にも適用があるとしている見解の法的根拠を示されたい。

七 前記一から六について、政府は検察官への勤務延長制度の適用は「解釈変更」によるものと主張しているが、このようなものは法令解釈ですらなく、閣僚及び検察官出身の法務官僚らによる法律の強奪行為たる空前絶後の不正行為そのものではないか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。