質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一七一号

安倍総理後援会主催夕食会の契約に係る安倍総理の認識等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年六月十七日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   安倍総理後援会主催夕食会の契約に係る安倍総理の認識等に関する質問主意書

 桜を見る会の前日に開催された安倍総理後援会主催の夕食会(以下「夕食会」という。)について、安倍総理は令和二年一月三十一日の参議院予算委員会において、「契約の当事者は誰かといえば、これはホテル側と契約の当事者はあくまでも個々の参加者でございます。(中略)であるからこそ、これは収支報告書にこれは記入する必要がないという判断をしているわけでございます。これは収支と、収入と支出が一致しているということだけではなくて、これは当事者がまさに個々の参加者であるということによって、これは記入をしていないということであります。」と答弁している。しかし、このような性格の会合において、ホテル側と個々の参加者との間で直接契約を締結するとは一般的に考え難く、夕食会を巡る契約関係の実態は、参加者と安倍事務所、安倍事務所とホテルの間でそれぞれ契約が締結されていたと考えるのが自然な理解ではないか。
 そこで、これまでの安倍総理の答弁をもとに、以下質問する。

一 参加者は安倍事務所からの「アンケート調査」により夕食会の日時・会場・料金を把握し、その内容に合意して「アンケート調査」への回答の形で夕食会への出席を申込み、安倍事務所がその出席申込みを承諾した時点で、安倍事務所と参加者の間で、契約が成立したと解される。そして、夕食会当日、参加者は安倍事務所職員に料金を支払い、安倍事務所は参加者に夕食会のサービスを提供することにより、それぞれの債務を履行したと解される。このことから、参加者と安倍事務所の間で、契約が締結されていたと考えるのが自然な理解ではないか。安倍総理及び政府の見解を示されたい。

二 安倍総理は、安倍事務所とホテルの間には契約関係はなく、「ホテル側と夕食会の各種段取りを相談する中で、私の事務所の職員が会場の予約を行った」(令和二年二月四日衆議院予算委員会)と答弁しているが、一般的に、「宴会の予約」は、法的には契約(宴会場・飲食物提供契約)そのものではないか。また、総理は、安倍事務所とホテルの間で料金等については、「合意をしている」(令和二年二月五日衆議院予算委員会)と答弁しているが、この「合意」とは、民法上の法律行為の何に当たるものであるのかについて、安倍総理及び政府の見解を示されたい。

三 前記二について、当該「合意」とは民法上の契約そのものではないか。このことから、安倍事務所とホテルの間で、契約が締結されていたと考えるのが法律に基づく当然の理解ではないか、安倍総理及び政府の見解を示されたい。仮に、当該「合意」が民法上の契約に該当しないと考える場合は、その具体的な理由について示されたい。

四 前記一から三について、夕食会を巡る契約は、参加者と安倍事務所、安倍事務所とホテルの間で締結されていたと考えられることから、安倍総理の「ホテル側と契約の当事者はあくまでも個々の参加者でございます。(中略)であるからこそ、これは収支報告書にこれは記入する必要がないという判断をしているわけでございます。」とする認識は民法の解釈として誤りがあるのではないか、安倍総理及び政府の見解を示されたい。仮に、誤りがないとする場合はその理由について具体的に示されたい。

五 安倍総理は令和二年一月二十二日の衆議院本会議において、「主催者である安倍晋三後援会としての収支は一切ない」と答弁しているが、参加者と安倍事務所の間で締結された契約に基づき、参加者は安倍事務所に受付で料金を支払っており、その時点で安倍事務所としての収入が発生している。また、安倍事務所とホテルの間で締結された契約に基づき、安倍事務所はホテルに対し、受付終了後に集金した全ての現金をその場でホテル側に渡した時点で、支出が発生している。仮に収支が計算上ゼロとなる場合であっても、事実として収入及び支出が実際に発生した時点で収支報告書の記載義務があることから、夕食会の収支を政治資金収支報告書に記載していないことは、政治資金規正法違反に当たるのではないか。政府の見解を示されたい。

六 前記五について、仮に、安倍総理及び政府において夕食会の収支を政治資金収支報告書に記載していないことが政治資金規正法違反に当たらないと考える場合は、前述の参加者が安倍事務所に受付で支払った料金による安倍事務所の「収入」が政治資金規正法上においてどのように評価されるべきと考えているのか及び前述の安倍事務所が受付終了後にホテル側に渡した現金による安倍事務所の「支出」が政治資金規正法上においてどのように評価されるべきと考えているのかについて、安倍総理及び政府の見解を具体的に示されたい。

  右質問する。