質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一六九号

桜を見る会への安倍総理及び安倍後援会の推薦行為等が公職選挙法の買収罪に該当することに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年六月十七日

小西 洋之


       参議院議長 山東 昭子 殿



   桜を見る会への安倍総理及び安倍後援会の推薦行為等が公職選挙法の買収罪に該当することに関する質問主意書

 安倍総理は令和二年一月二十三日の衆議院本会議において、「桜を見る会の招待者については、提出された推薦者につき、最終的に内閣官房及び内閣府において取りまとめを行っているところであり、当該プロセスに私は一切関与していないことから、公職選挙法に抵触するものではないかとの御指摘は当たりません。」と答弁している。
 これに関して、以下質問する。

一 公職選挙法の逐条解説である「逐条解説 公職選挙法(下)」(二〇〇九年 ぎょうせい)の一千七百四十八ページにおける解説によると、買収罪のうち、財産上の利益の供与罪・約束罪は、「供与者が現実にその供与の目的物について処分権を有しないときにおいても本罪の成立を妨げない」とされている。つまり、その供与の目的物について処分権を有しない者が行う供与についても、それに関与し得る有力者として、供与を約束し、相手方もその実現可能性を期待するような場合には、犯罪が成立し得ると解釈し得るが、このような解釈の当否について、政府の見解を示されたい。

二 安倍総理は令和二年一月二十三日の衆議院本会議において、「桜を見る会の招待者については、提出された推薦者につき、最終的に内閣官房及び内閣府において取りまとめを行っているところであり、当該プロセスに私は一切関与していないことから、公職選挙法に抵触するものではないかとの御指摘は当たりません。」と答弁しているが、公職選挙法の逐条解説である「逐条解説 公職選挙法(下)」(二〇〇九年 ぎょうせい)の一千七百四十八ページにおける解説によると、買収罪のうち、財産上の利益の供与罪・約束罪は、「供与者が現実にその供与の目的物について処分権を有しないときにおいても本罪の成立を妨げない」とされているのであるから、安倍事務所が提出した推薦者を内閣官房及び内閣府が取りまとめをしていたことは、安倍事務所の関係者について「本罪の成立を妨げない」と解するべきではないのか。仮に、政府において、安倍事務所の関係者には公職選挙法の買収罪が成立しないと考える場合は、その理由について具体的に示されたい。

三 安倍総理は、国会で自ら安倍事務所からの推薦に関与し、かつ、桜を見る会やそのいわゆる前夜祭において招待された安倍事務所からの推薦者に対して謝辞等を行っていた旨を答弁している。とすると、買収罪のうち、財産上の利益の供与罪・約束罪は、「供与者が現実にその供与の目的物について処分権を有しないときにおいても本罪の成立を妨げない」とされている公職選挙法の趣旨に鑑みると、「最終的に内閣官房及び内閣府において取りまとめを行って」いようがいまいが、安倍総理自身についても「本罪の成立を妨げない」と解するべきではないのか。仮に、政府において、安倍総理には公職選挙法の買収罪が成立しないと考える場合は、その理由について具体的に示されたい。

四 安倍総理は令和二年一月二十八日の衆議院予算委員会において、「事務所の担当者によれば、回数を重ねる中で、推薦すれば招待されるだろうとの安易な臆測のもと、作業を進めてしまった」と答弁している。この答弁は、安倍事務所からの推薦者が招待されない例は稀なことであり、殆どの推薦者は推薦名簿に基づきそのまま招待されていた実態にあったことを示しているのではないか。こうした実態の有無について政府の見解を示されたい。

五 安倍総理による「事務所の担当者によれば、回数を重ねる中で、推薦すれば招待されるだろうとの安易な臆測のもと、作業を進めてしまった」との答弁は、内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめを行っているからといっても、安倍事務所からの推薦者が招待されない可能性は低いものであり、安倍事務所が後援会関係者に対し桜を見る会への参加を募る行為は、応募した後援会関係者にとっては、桜を見る会への参加の実現可能性を極めて高く期待する行為となっていた実態を示しているものと考えるが、こうした実態の有無について政府の見解を示されたい。

六 安倍総理による「事務所の担当者によれば、回数を重ねる中で、推薦すれば招待されるだろうとの安易な臆測のもと、作業を進めてしまった」との答弁は、事実として、安倍事務所からの推薦者がそのまま桜を見る会の招待者となっていた実態及びそうした実態であるが故に安倍事務所が後援会関係者に対し桜を見る会への参加を募る行為が応募した後援会関係者にとっては桜を見る会への参加の実現可能性を極めて高く期待する行為となっていた実態を踏まえると、安倍総理は「内閣官房及び内閣府において取りまとめを行っているところであり、当該プロセスに私は一切関与していない」ことを根拠に公職選挙法への抵触を否定しているが、内閣官房及び内閣府が取りまとめを行い、総理自身が取りまとめのプロセスに関与していたか否かにかかわらず、安倍事務所が後援会関係者に対し桜を見る会への参加を募り、応募した後援会関係者を内閣官房及び内閣府に推薦した行為をもって、公職選挙法の買収罪に該当すると解すべきではないか。政府の見解を示されたい。仮に、買収罪には該当しないと考える場合はその具体的理由を示されたい。

  右質問する。