第201回国会(常会)
質問第一六四号 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」における新型コロナウイルス感染拡大の経緯の確認に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和二年六月十七日 牧山 ひろえ
参議院議長 山東 昭子 殿 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」における新型コロナウイルス感染拡大の経緯の確認に関する質問主意書 新型コロナウイルス感染症が、横浜沖に停泊している「ダイヤモンド・プリンセス号」(以下「クルーズ船」という。)の乗客・乗員らに、次々と罹患した件に関し、以下質問する。 一 クルーズ船は本年一月二十日に横浜港を出発。その後鹿児島に寄港後、同月二十五日に香港に到着。二月一日には那覇に寄り、横浜に戻っている。厚生労働省は寄港した那覇で仮検疫を済ませたが、この段階で乗客・乗員中に新型コロナウイルス感染症の罹患者を発見出来なかった。それはなぜか。那覇での検疫の詳細と併せて説明されたい。 二 横浜港における検疫は、どのような要領で行われたか。 また、クルーズ船での検疫を終え、検疫の要領の改訂が必要だと思われるのは、どのような点に関してか。 三 クルーズ船に乗船していた中国系男性乗客が、一月二十五日、香港で下船した。男性は乗船中の同月二十三日から咳の症状を呈し、下船後の同月三十日に発熱、二月一日に新型コロナウイルスの陽性が確認されたとされる。 この中国系男性乗客について、乗船前及び乗船中の濃厚接触歴等の把握は行われたのか。 四 クルーズ船の船長には、いつどのようなルートで、香港で下船した乗客の新型コロナウイルスの感染が伝えられたか。 また、船長は乗客・乗員に対して、即座にこの事実を公表していない。乗客・乗員への情報の共有に関し、厚生労働省は船長ないしクルーズ船側に対して、何らかの確認ないし指示を行ったのか。 五 二月三日から検疫官がクルーズ船に乗船し、乗客・乗員を対象とした大規模検疫が実施された。その一方で、同月五日早朝まで船内での行動は制限されておらず、ショーなどのイベントは通常通り開催されていたとされる。 横浜港に入港後検疫官の入船時等に、厚生労働省から感染拡大阻止についてのアドバイスや指示は行われなかったのか。 そうだとするなら、感染阻止のための要請や指示は、いつからどのような形式で、そしてどのような内容で行われたのか。そして、その指示等に沿ってクルーズ船側の対応は行われたのか。 六 クルーズ船の乗客は二月十九日から下船を開始している。この下船に際して、厚生労働省は、無症状者に対しては、更なるPCR検査を行わず、米国や韓国のように、下船後更に十四日間の外部接触を回避させず、移動に際しては、公共交通機関を利用させている。 これらについては、私を始め、各所から慎重な意見のあったところである。 前記はいずれも、下船者に感染者はいないことを前提とした措置と思われるが、その後下船者から複数人の感染が確認されている。厚生労働省は、下船者中に感染者がいるかもしれないことを想定した上で、前記の措置を行ったのか。 七 前記六の措置は、船内で最初に感染者が確認され検疫が実施された二月五日以降、船内での感染が広がっていないとの厚生労働省の判断が前提にあると思われる。加藤勝信厚生労働大臣も記者会見で「基本的にはそうした(感染防止措置をとる)前の段階で感染があり、発症したと我々は見ている」旨述べ、検査で感染が確認された乗客はいずれも同月五日より前に感染したとの見解を示している。 だとするならば、下船者中から感染者が確認された事実を、どう説明するか。 右質問する。 |