質問主意書

第201回国会(常会)

質問主意書


質問第一六二号

大規模災害時の自治体職員の派遣の円滑化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和二年六月十七日

牧山 ひろえ


       参議院議長 山東 昭子 殿



   大規模災害時の自治体職員の派遣の円滑化に関する質問主意書

 大規模災害が発生すると、被災自治体は避難所の運営や罹災証明の交付など災害対応業務が膨大になる。被災自治体の職員だけでは人員が圧倒的に不足するため、被災住民の生活再建を円滑に進めるためには、短期間での集中的な職員の応援が欠かせない。
 この課題を解決するために、大規模災害時に迅速な応援職員の派遣を可能にする「被災市区町村応援職員確保システム」の運用が、いわゆる「対口支援」の形式で昨年三月から開始されている。
 「対口支援」方式とは、大規模災害発生時に、被災自治体と支援する都道府県・政令指定都市をペアにして、支援の偏りがないよう効果的な職員派遣につなげていく方式である。具体的には、第一段階支援としては、被災地域ブロック内を中心とした地方公共団体による応援職員の派遣とされており、都道府県または指定都市を原則として一対一で被災市区町村に割り当て、対口支援団体を決定。第一段階支援だけでは対応困難な場合、第二段階支援として、全国の地方公共団体(都道府県及び指定都市)による追加の応援職員の派遣を行う。なお、都道府県にあっては区域内の市区町村と一体的に支援するとされている。
 令和元年台風十五号による災害においては、九被災自治体に対し十六自治体のペアが形成され、合計のべ三千五百四十五人の派遣を実施し、令和元年台風十九号上陸の際には二十七被災自治体に対し三十四支援自治体のペアが形成され、合計のべ九千二百六十人の派遣が行われた。
 以上を前提に、災害時の行政対応の円滑化を目指すべく、以下の通り質問する。

一 災害対応においては、初動が非常に重要であるが、昨年の台風災害においても、職員の派遣に時間を要した事例が散見された。被災自治体が「被災市区町村応援職員確保システム」による応援要請を一刻も早く行う必要がある。そのためには、平時から、地方自治体に対する「被災市区町村応援職員確保システム」の周知をより強化し、徹底すべきと考えるが、如何か。

二 地方自治体に対する「被災市区町村応援職員確保システム」の周知の際には、被害状況を十分に把握していない段階でも、躊躇無くシステムの利用を申入れすべきことを周知の内容に含めるべきと考えるが、如何か。

三 大規模災害時に被災自治体から迅速に応援要請が入らない場合には、国ないし被災市区町村応援職員確保現地調整会議が積極的に旗振り役を果たし、被災自治体に対し制度利用を勧奨すべきではないか。

四 被災自治体が支援を求める業務は災害の規模や種類などで異なる。支援業務の内容や手法の違いに関し、派遣先との調整に時間を要することも珍しくない。「災害時に求められる支援業務の標準化」等も検討すべきではないか。

五 都道府県が支援役のパートナーになる場合、都道府県は管内の市区町村と一体となって職員を派遣することになる。
 災害時の応援や現地入りの経験は、将来、自分の自治体が被災した場合に活用することが期待できる。都道府県の支援の実施に際しては、職員に将来に向けた経験を積ませるという視点も持つべきではないか。

六 災害時、首長の「災害マネジメント」を総括的に支援するとして、「災害マネジメント総括支援員」制度が構築、運用されている。求められる資質として、災害対策の陣頭指揮の経験、派遣職員として災害マネジメントに関与した経験といったことが挙げられている。
 「災害マネジメント総括支援員」となりうる人材は、支援自治体としてだけではなく、被災自治体としても、災害時に大変有益である。そのことからすると、政令指定都市の市役所職員や県庁職員だけではなく、政令指定都市以外の市町村職員においても支援員の登録がなされた方が望ましいと考えるが、政府の認識は如何か。
 また現状、全自治体の内、支援員が登録されている自治体はどの程度の割合か。

七 登録された「災害マネジメント総括支援員」については、災害時ばかりではなく、平時より、同一地域ブロックの支援員同士で、定期的に意見交換や交流の機会を持ち、災害時の支援活動が円滑になされるよう努めるべきではないか。政府の見解を伺う。

  右質問する。